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停車第一号

5話 停車第一号


「また、マカさんにだまって出ると怒るから連絡した方がいいかなぁ」

「大丈夫よ。家出るまえにメール出しといた」

「さすが静ちゃん、スマホ使いこなしてるね」

「いいや、まだまだ」


「そーかー? こないだユーチューブ見てヨダレ垂らしてたぞ。けっこう使いこなしてる」


「うるさい黙れ醜女! そうだ、アヤ。オシラサマには」

「家の前に居たカエルに」

「カエルかぁ。もっと早く飛べる虫とか居なかったの」

「虫はまだ寒いから」


 昼間だとオシラサマが行動出来ないから、今回は午前一時に家を出た。


「お腹すいたから、コンビニでなんか買ってこー」

「そうだね」


 コンビニで買い物を終えてオシラサマとの待ち合わせ場所に行くと、丁度来た。


「おはよーお二人さん。今度はドコ行くの」


 やはり県内からは出れないと県境まで乗せてもらった。


「ねえ、また東京でいいかなぁ。それとも青森でも行って見る?」


 と、静ちゃんはリュックから出した首かけヒモが付いた段ボール紙にペンで書こうと。


「青森県へ行くのなら盛岡でなく、八戸方面へ行けばよかったんじゃ」

「そうか、それに東北はまだ寒いから、やっぱり関東方面ね。でもまえは宮城行ったから新潟方面へ行こうか」

「そうだね。日本海も見たいね。新潟へ行ってみよう」

「じやとりあえず新潟と……あっちも寒いけどね。まっいいか」


 夜が明けてきてクルマの通りも多くなってきた。が、新潟方面に行くクルマが少ないのか、まったく停まってくれない。


「お腹すいたよアヤ」

「コンビニで買ったのは?」

「もう全部食べたわ」

「朝食用も」

「うん」

「じゃわたしの焼きそばパンあげる」

「ありがとーだからアヤ好き! あ、でも朝食にしてはアヤらしくないおもいパンねぇ」

「多分静ちゃんが足りないと思って。わたしはコレ。フルーツサンド」


 歩道で朝食を食べてるとクルマが停まった。


「あんたら、ドコ行くの。ヒッチハイクだろ」


 二つ目のアンパンを咥えた静ちゃんが段ボール紙を見せた。


「新潟ね、乗れよ」


 止まったのは大きな外車。しかも屋根がない。後で知ったがオープンカーというらしい。


 まるで昔の不良のようなオールバックで黒い濃いサングラスで派手なジャンバーを着た、くわえタバコの男が助手席に。

 ドライバーは金髪でチェックガラの緑のジャケット。

 一見して、変なやつらだ。

 どうしよう。わたしは静ちゃんの顔を見た。

 静ちゃんはニコニコしてクルマに乗ってしまった。

 屋根がないからドアを開けずに飛び乗った。


 私が乗ると、走り出した。


「あんたたちも新潟へ行くの」


「ああ、新潟のバアちゃんが危篤でさ」


「じゃ急がないと」


「ハイGO!」


 ドライバーの男はスピードをあげた。


「あんたち美人だね。いくつ?」


「女に年令聞くの」


「年増は答えてくんないんだ。あんた本当は40くらいかな? 美魔女とか」


「ハズレよ、四百才」


「イヒヒヒ四百だってよ、美魔女どころか妖怪だ」


 助手席の男だ。

 本当にわたしたち妖怪なんだけど。


「そうなら降ろす? スピード出し過ぎじゃない。お婆ちゃんトコに着く前に捕まるよ」


「テンちゃん、捕まるってよウッヒヒヒ」


 助手席の男、嫌な笑い方。


「婆ちゃんの話ウソぉ〜」


 ナニこいつら。ヤバイクルマに乗っちゃた?


「ウソつくと閻魔様に舌抜かれるわよ」


 そうだ静ちゃん。言ってやれ!


「テンちゃん、エンマさまだってよクッヒヒヒ。笑かしてくれるよなこの姐ちゃん」


「おもしれーじゃねーか。オレ、あんたが気に入った。隣のダサいのおまえにやるよ」

「テンちゃん、それはないよダサいのはテンちゃんのだ」


 もしかして、「ダサいの」ってわたしかしら?

 でも静ちゃんと同じ洋服屋さんで買った服だよ。


「あんたら、何を勝手に。あたしはどっちのモノにもならないよ、降りよアヤ」


「ウソだろ、テンちゃん! 奴らクルマから飛び降りた!」


              つづく

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