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都市伝説

47話 都市伝説


「やけに長かったな。なに話してたんだ?」

「まいった。悪いが、ココの払い頼む」

「頼むって、まだ何もたのんでないぞ。財布忘れたのか?」


「いや、おごってやると言ったら……。財布の中身が無くなった。有り金置いてきた」

「なんだ、そんなに持ってなかったのか。で、出演交渉したのか? 前金出したとか?」


「ああ、やっぱり出ないと……彼女」

「じゃ僕が行ってくる。僕も彼女に出てもらいたい」

「やめとけ、昼飯食えなくなるぞ」

「一食ですむのなら……」

「いいって、それより面白い話を聞いた。人間の精気を食らう西洋モンスターだ。名前は……。忘れた。適当に考える。猫又を飼ってた娘がそいつに襲われるんだ。精気をぬかれた娘は老婆になってしまうんだ。その娘を助けるために猫又がモンスターと戦う。助っ人妖怪も欲しいなぁ……アヤにでもたのむか」


「なんだか、頭の中で出来始めてるなぁ。静くんにそんな話を聞いたのか」

「ああ、実体験……」

「実体験?! 静くんが、そんな化け物と遭遇したのか」


「いや、違う。よくある都市伝説を聞いたそうだ。若い娘の間で伝わるギャルババァの話だ。深夜に現れる。ギャルのような格好したババァ出るそうだ。そのウラ話が吸血鬼ならぬ吸精鬼伝説だ。こいつが人間のふりをして若い子を食う」


「吸性器。ポルノか? 客選ぶな」

「何を言ってんだ? エロ映画じゃない。ホラーだ。都市伝説ホラー……吸精鬼だ。精気を吸い取る鬼だ。アソコを吸う鬼じゃないぞ。ん……AVの会社に売れるかな……あ、いや、何を言ってんだ僕は」


「まあわかるけど、そのモンスターはどうやって精気を吸うの? 場所によっては、ポルノだな。せめてR指定で願いたい。X指定までゆくと塩野さんプロデュースしてくれないかも」


「大丈夫だ、モンスターは腹を口のようにわり、中から出てくる触手を伸ばして、吸い付く。娘の肌なら、どこでもいいそうだ」


「なるほど、誰が見たの? 具体的だね。静くんかな?」


 だが、そうだ。とは、言えない。


「都市伝説だ、誰かが見てきたように語ったんだろう」


「都市伝説かぁ。いろいろ面白い話ありそうだなぁ。やってみようじゃないか」


 と、柳田は呼び鈴を押した。


「おい、僕、何食うか、まだ決めてないぞ」

「僕のおごりだボンゴレパスタで、いいよね」


「ああ、あとドリンクバーも」


「都市伝説と言えばさ、僕かっぱ橋で河童を見たんだよ。ウチの包丁が切れなくなって、おまけに歯こぼれしちゃてさ。どうせ買い換えるなら、かっぱ橋で良いのをと思い行ったんだ。思い立ったらって、夕方雨の中出かけちゃてさ。包丁屋の前で知り合いを見かけたんだ」


「ご注文は?」

「あ、ボンゴレパスタ二つとドリンクバーも二つ」


「知り合いって」

「ソレが後ろ姿だったんだけど。河橋緑子」

「カッパ橋で河橋緑子。できすぎだ。本物だったの?」


 彼女だろと思って。


「声かけたら、河童だったんだ。おかっぱ頭は緑子みたいだった。けど、振り向いたその顔が目がでかくてまんまる。鼻が小さくてクチバシみたいな大きな口だった。その場で腰抜かしちゃてさ僕」

「で、河童は?」

「走って行っちゃたよ。かっぱ橋に本当に居るんだな河童……ウソだと思う?」


「いや、本当居るんだよ、かっぱ橋に河童。僕も見たから」


               つづく

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