久々のマンション
38話 久々のマンション
久々に柏市の自宅マンションに帰った。
遠野へ出かけ、帰りは都内の先生の家に直行。
下描きから、手伝わされた。
何しろ締め切りギリギリで青森まで取材に行くなんて、成人向漫画描いていた頃は、ありえなかった。
初の一般誌なんで先生もはりきっている。
なら、他のアシだったメンバーも呼べば楽だったのに。
辞めさせたので、呼びにくかったらしい。
ウチは東北からだと東京の手前にある千葉県の柏市。
実家は隣の流山市だが、兄が結婚したので家を出た。
やっぱりマンションの部屋に帰ると、落ち着く。
2DKだが一人なので充分。
玄関の下駄箱の上のアニメの少女フィギュアに「ただいまぁ〜」と声をかけて部屋に入る。
掃除をはじめた。
室内はもちろん。ひと月以上部屋に帰ってなかったから。フィギュアたちも。
愛用のフィギュア用平筆でフィギュアたちのホコリを落とす。
ほとんどアニメキャラの女の子フィギュアだ。
ボクは、女の子物しか買わない。
今の数は一体や二体じゃない。数えたコトがないので正確な数はわからない。
気に入ったキャラはつい買ってしまう。
基本フィギュアは、箱から出して飾る。
今ではトイレから風呂にもフィギュアが置いてある。
好きなモノに囲まれてる暮らすのは悪くない。
最近のお気に入りは、妖田先生の「二面少女アヤカ」の主人公姫神アヤカのフィギュアだ。
アニメ放送終了後に出た。
このフィギュアは、完成度が高い。
アヤカの探偵な人格が、本来のアヤカにメイドのコスプレをさせセクハラでスカートめくった姿を見事に再現している。
パンティマニアの先生がデザインしたセクシーなパンティもまんまだ。
ファンでなくても見てるとムラムラしてくると、アニメ好きでない友人も言っていた。
ソレは寝室の棚にケースを買って入れてある。
居間のフィギュアたちのホコリ落としを終えて、寝室に。
ベッドの横やパソコンディスクの上とかにもある。
「アレ、お前は……」
アヤカの入ったケースの上に座ったのが一体あるが、そいつは見慣れないキャラだ。
おかっぱ風の黒髪に大きな赤いリボン。髪は植え込んでいる。
水色のフリ袖だがミニスカートサイズで生足が並んで下がっている。履物は下駄だ。
目は他のフィギュアと違い入れ目で、直接顔に描いたのではない。
まつ毛も描いてなく植え込んである。
こいつはケースの中のアヤカより精巧に作られている。
コレは、なんだ? ボクの知っているキャラではない。っていうか、コレを買った憶えがない。
「おまえはなんだ? どこから来た!」
と、ふざけてボクは話しかけた。
「あたいはツクナ。はじめまして」
「うわぁフィギュアがしゃべった!」
「失礼ね。フィギュア? じゃなくてよ」
そいつはケースの上に立ち上がった。
大きさは下のアヤカと同じくらいか。
瞬きをした。
人形ではないようだ。
生き物?
小さいオジさんは、よく聞くが。小さい少女はあまり聞かない。
「ツクナは、何者なんだ?」
たしかに、この世のものじゃない感じはするが。
会話が出来るフィギュアみたいで怖くない。
むしろ愛らしいくらいだ。
「何者……あたいは化け物とか、お化けとか言われるけど、その呼び方は好きじゃない。場所によっては座敷わらしとか、コロボックルとか呼ばれたりするが、あたいはツクナだ。それ以外の何者でもない」
「座敷わらし……ツクナはもしかして妖怪?」
「ヨーカイなんて、化け物と一緒の呼び方だよ。やめてよね」
「ああ、ゴメン。ボクは橘九十九。よろしく」
「ツクモかぁ。ちょっと似てるね名前。あたいは実はあんた、ツクモがココヘ来る前から居たんだ。前の住人は女だったけど。何度かあたいを見てから、引っ越したよ」
「ココは、そういう物件だったのか。オーナーが親戚の叔父だから安くするとか言ってたけど……。今までなんで見えなかったんだ? 先生のトコでもおかしなコトあったり。狐の妖怪に襲われたりとボクにナニがおきたんだ?! レーカンとか、強くなったのかな」
「さあぁね。そーゆーのは、あたいにはわからないわ。しかしツクモはホント人形が好きだな。みんな目が大きくて可愛いから、あたいも顔をちょっと変えてみた。可愛いか?」
「そうか、それでフィギュアみたいなんだ。こういう人形はフィギュアと言うんだ。みんなアニメのキャラクターだ」
「アニメって、テレビでやってる動く漫画か。ツクモがよく見てるな。フィギュアってゆーのか。しかし、この下のはナゼ箱に閉じ込めてある」
「閉じ込めてるわけじゃないよ。大事だからホコリがかぶらないように入れてあるのさ」
「ふーん。そうなのか。この下のが大事なのか。で、こんなコトをしてる姿が好きなのか」
ツクナが、短い着物のスソをめくった。
「おい何も履いてないじゃないか!」
小さくてもツクナの下半身が、すっきり見えた。
「着物の下はいつも、こうだ。下着はつけてない。ツクモは、あの白いのが好きなのか。アレはドコに売ってる?」
「売ってるトコを教えてもツクナには合わないだろ人間サイズだ」
ソレにアレは先生のデザインだから同じ物は、ない。
まてよ、もしやリカちゃんとかバービーのなら合うのでは。
ボクは何体かバービーサイズのオリジナルドールを作った。その衣装のなら。
ボクは引き出しからドールの下着を出してツクナに渡した。
彼女は帯を解いて、裸になりドール用のブラを付けて。
「コレがブラジャーか、ちょっとあこがれてたんだ。パンツも丁度いいが、下のフィギュアのホド可愛くないな」
下着を付けると、他にあるフィギュアのポーズをして見せつけた。
「コレ、もらっていいのか」
返事も聞かないで着物を着た。
「なんだか変な感じだ。でも、仲間に見せてやろう」
「仲間がボクの部屋に居るのか?」
「アハハ安心して、ココはあたいだけ。仲間は他の部屋だ」
つづく




