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37話 新作
「どうですかね……」
「ん〜イマイチかなぁ」
やっぱり。
プロデューサーの塩野に第二弾は、書けと言われて、やる気になったが。
いいのが書けない。
やっとこさ、仕上げたのを監督予定の柳田に見せたがイマイチかぁ。
「新・妖異百物語」の二作目の脚本が書けない。
「前作みたいにさ、『大戦争』とか、やっちゃえば」
「そいつは、一番やりたくないパターンだ。すでに妖怪マニアが監修して作られたリメイク作品がある。それはまあまあだったな」
「ああ、あれの二作目はマニア連中が、離れて。で、つまらん作品になったがな」
「あーは、なりたくない。ヒット作の二作目は前作越えないとダメなんだ」
「前はオムニバスだったから一本の怪異にしぼったらどうだ」
「そうだなぁ何か面白いエピソード考えるか」
「前作で好評だった。二口女の話はどうかなぁ」
「あれかぁ。でもネタバレしてるからなぁ」
やるのなら静に出てもらいたいが、もう出る気ないらしいからな。あいつ。
「妖怪ヒロイン物とか、やらないか」
「前ので使わなかったキャラで。たとえば猫娘をヒロインにして」
「キャット・ウーマン」かよ。アメコミみたくなるぞ柳田。
「猫はメジャーすぎないか」
「メジャーだからいいのさ。『化け猫』物を現代版で撮るんだ」
「猫が、主人の仇を討つ。ありきたりじゃないか。が、やり方次第では『化け猫』に何かプラスするんだ。敵役のモンスターとか」
なんかのってきた。化け猫対モンスター。
が、敵役のモンスターは何にしよう?
蒲田。百夜モデル事務所。
「久しぶり。静、彩。仕事する気ない? まあ事情はわかるけど。あの映画の後、静の仕事依頼が殺到してんの。とりあえず断ってるけどね」
妖怪寝肥ことモデル事務所の社長。鳥山眠子。
わたしたちにモデルの仕事をくれて、前回の東京旅行時にはいろいろ助かった。
まえのお礼のつもりで顔を出した。
「さすがに遠野の事は知れてないけど映画公開の後、パパラッチが出たのよ。岩手のシネコンで舞台挨拶とか、しちゃたから。岩手の何処かに居るんじゃないかってね」
「まあ、パパラッチが……」
「別の場所へ偽物おいて、ごまかしたついでにパパラッチはババァ妖怪の餌食よホォホホホホ」
静ちゃんが悪い顔して笑った。
「あのさ、まえみたいにココのスタッフで、簡単な仕事ならしてもいいよ。軍資金が減ったもので……」
「ココに来たホントの目的はそっち」
「まぁ……」
「いいわよ。そっちのなら、あるわよ広告モデル。『ノラクロ』とか、『しもむら』とか……」
静ちゃん、タコQのたこ焼き食べ過ぎ。
ここにも差し入れと、10箱も買ってきた。
所持金減るわけだ。
「映画『百物語』に出ていた静さんですよね」
見なれない人が。
でも、見た目からして、モデルだろう。
「あ、はじめまして。ココの所属の猫前タマエです」
「そう。名前からして猫又の妖怪?」
「ええ、そうです。ウチのネコがお世話になってます」
「って、猫っ子の……お姉さん」
「まあ、お世辞かしら。母です」
「いや、お姉さんにしか」
「お世辞でも嬉しいわ。よかったらウチにも遊びに来て。妖怪シェアハウスしてるの他にも仲間が居るわよ」
「そういうTVドラマありましたよね。あ、わたしは静ちゃんの友だちで綾樫彩です」
「はじめましてアヤさん。あのドラマのプロデューサーは、ウチの旦那なのよ」
「なるほど。で、ああいうネタを」
「あのシェアハウスの一人に河童の娘が居たでしょ。あの娘、本物よ。よかったら静さん、出ません二口女で。第2シーズンが秋からはじまるのよ。旦那に言えば喜ぶわ」
「いえ、女優業は、もうしないつもりなんで」
つづく




