恋に落ちたアシ
28話 恋に落ちたアシ
「送ったコンテにOKが出た。『キリストの娘』でいける」
〘良かったですね先生〙
「なんの偶然なのかね。やめてもらったアシのチーフの君と取材旅行の帰りに出会うとは」
〘先生、偶然なんてないんです。これは必然なんです。ボクが彼女たちと出会ったのも……〙
「どうした立花君。なんか、元気ないな」
〘あ、いや。大丈夫です。で、いつから入ります〙
「今夜から来てくれる?」
〘6時頃行きます〙
「アヤカ、今日は水色のパンツか。それ、あたしも好きだが、前のペンギンはイマイチだな」
ボクは見ていた「二面少女アヤカ」のディスクを止めた。
なんでだろう。家に帰ったら、このアニメが見たくなった。何度も見返してるのに。
妖田先生の原作の絵よりアニメのアヤカの方が似てるからなのか。
「綾樫彩さん」
声に出してしまった。
はじめは、妖田先生のヒッチハイクしていたキレイな娘の話から映画に出ていた。静さんに興味を持ち。実際に遠野で出会って。ホントはドキドキしていた。でも、その隣に。
天使が居た。
綾樫彩さん。実はドキドキで、見ることも会話も出来なかった。今度会ったら、会えるかな?
言ってみよう。
「アヤさん、好きです」
ボクは、無意識に「アヤカ」のぬいぐるみにキスしていた。
幻想エンタ編集部
しかし、おどろいたなぁ。去年のハロウィン前にあの二人と会ってたなんて。
あの時は、泥酔しながらお笑いクラブまで連れて行って、まったく誰か憶えてなかった。
しかし、摩訶先生。妖怪だなんて、まああんなキレイな娘たちが山奥に住んでて遊びにくれば思わなくもないが。妖怪だなんてジョークを。
妖怪には見えなかった。
しかも、飛縁魔姉妹が出ていた妖怪映画にも出ていたなんて。
摩訶先生が、彼女たちが居なくなったと悪酔いするのは、わかるくらいだあの娘たち。
ボクも会えて幸せ。
「高田君、何ボーッとしてヨダレたらしてんの」
「あ、唐沢さん。ヨダレなんか」
わぁ、タレてた。
「タレちゃんって呼ぶわよ。ここの構成しておいて」
「そこは一条さんの」
「さっき電話があってね、インフルエンザなんだって……高田君の感染ったのかしら」
「ボクを感染元にしないで下さい。副編集長だって」
彼はマスクをして、咳をした。
「なんだよ、俺がら、感染っしたてか。昨日は一緒に帰ってねーぞ」
「まあ誰でもいいわ。やっておいてね」
そうだ、摩訶先生に二人に会ったことを連絡しなきゃ。
〘なに? 高田君。締切まだ先だよね〙
「先生、ウソつきましたね。彼女たち怒ってましたよ」
〘彼女たち? なんの話だ?〙
「摩訶先生の家に遊びに来る妖怪コンビ。あんな美女二人を妖怪コンビだなんて、女性に失礼ですよ」
〘高田君、会ったのか。あのふたりに。東京でか?〙
「はい、飛縁魔先生のトコで」
〘飛縁魔……飛縁魔みずちのとこか〙
「はい飛縁魔先生は映画で見た静さんをモデルに、何か、書くそうです」
〘飛縁魔みずち。あいつは人間か?〙
「あたりまえじゃないですか」
つづく




