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展示会?

27話 展示会?


 暖かくなってきたので、さすがにハンテンはヤメて。日暮里の安い用品屋で薄いめのグレイのパーカーを買い。

 ソレを着て、銀座をふらついていた。


 意外と銀座には来たことが少ない。ニ、三回だ。


 今日は暑い。パーカーを脱いで腰に巻いた。

 胸に縫い付けてた人間名の「こじま」は、ちょっと目立つかな。

 背中には2Bと。ま、気にしない。気にしない。



「赤名めじろ作品の展示会をしてます。どうですか? このポストカードを持参すれば無料です」


 と、歩道を歩いてたらくれた。

 ポストカードは赤名めじろのイラストが印刷されている。

 あ、コレわたしの顔だ。

 裏面には小さい簡単な地図と展示会場のビル名が。

 時間もあるから行ってみようか無料だし。


 て、行ってみれば展示物はすべて複製の売り物。

 展示会は複製品の即売会会場だった。

 コレで金を取ったらサギだ。


 意外とモデルはしてるがジジィの作品をあまり見ない。

 自分が描かれてる絵に興味ないからだ。


 大昔の話だが、姉さんが町で北斎の弟子と名のる人物にモデルを頼まれて、いい金になるからと引き受けたが。

 後で面倒になり。代わりに行かされたことがあった。

 行くと、北斎らしいオヤジと弟子が居て。

 悩ましいかっこうをしてくれと言われてちょっとやったが描いてたのは弟子。

 北斎指導のもと描いてた。

 出来た絵に北斎は、なんだかんだ言っていた。

 絵は見たが、それなりによくかけていたけど。


 それからしばらくして、弟子の描いた絵にデカいタコが描かれていてタコとからむ女になっていた。しかも弟子の作ではなく北斎作になってた。

 あの手の絵はみんな同じような顔の女で誰がモデルをしても同じなんじゃないかと。


 赤名変態めじろの絵だ。

 だいたいの作品は自分がモデルだとわかった。


 けど今、目の前の絵は若い少女だ。

 しかも、この少女。ドコかで見た顔だ。誰だっけ。


「その絵、気に入りました」


 若い男が声を。

 おそらく展示品の販売員だろう。


「ソレはこの展示物で一番新しい作品です」

「そう」

「50万は、お安い価格ですよ」

「複製でしょ」

「ええ、でも本物を買ったらクルマが買えますよ」

「いらないわ。5万でも高いわよ」

「分割でも買えますよ」


 男がわたしの服装見て言ったのはあきらかだ。

 一括払いじゃ買えないだろうとみたな。でも。


「買う気ない。絵を見に来ただけだから。それにこれ、コピー代はたいしたことないでしよ。額代だって5万もしないよね。ボッタクリもいいとこだわ。絵もゆっくり鑑賞出来ないし、じゃ帰るわ」


「あ、お客様……ちっビンボー人が」


「おいコラ斎藤。今なんて言ったの」

「あ、小林さん」

「私で良かったわね。主任に聞かられたら、減給ものよ、ヘタしたらクビかも」

「いやいやそれはないでしょ。あの客、ジャージでしたよ。銀座であんな中ボージャージありえませんよ。ビンボーにんのひやかしですって」


「斎藤って。入社して何年?」

「僕はまだ一年たってないです」

「そう……今の人、誰だと思って。部屋中の絵を見てらっしゃい!」


「誰なんです?」


「絵の女性をよく見てきなさい!」

「あの人は多分。私の目は……」



 感じ悪い男だったわ。

 最後の「ビンボーにん」。聞こえたわよ。


 でも、あの絵の少女は誰だったかしら。


 飛行機に乗るまで考えてた。

 最近あった少女なんかいたかな。

 昨日見たネコの妖怪でもないし。

 あのなんちゃてJKとも違う。

 最近あった一番若い娘は。

 そうか、少女じゃなく童顔の。あの女だ。ジジィの屋敷の前で、姉さんのトコでも会った編集部のバイトだ。

 あい娘、モデルのバイトも。



「フアァークション!」


「どうした、風邪か? 田中。気をつけろよ休まれたら困るからな」


「はい。帰ったらすぐ寝ます」


 最近、赤名先生のトコでモデルのバイトしてるからかな。

 ほとんどマッパだもんな。

 こないだボディペインティングもしたし。


              つづく

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