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街なかの妖怪自動車

26話 街なかの妖怪自動車


「あの家で飲み食いするとは思わなかった。ケイとかネコ、カメラ小僧まで呼んじゃたよ。悪かったかなぁ」


 小説のネタになるというお礼に宴会を開いてくれた飛縁魔先生の家からの帰り。

 バスがなくなったので歩いて池袋まで帰る。

 タクシーなんて無駄遣いはしない。


「一番楽しんでたのはカメラ小僧だったね。まあ業界でも都市伝説化されたモデルに会えたと大はしゃぎで驚いたよ。あの飛縁魔の妹が、そんな存在だったなんて」


「北海道から仕事に通えるのもすごい。あたしも新幹線で……しかし、あたしの場合後ろの口のせいで仕事が限られているからな。スーパーのチラシじゃ遠野から通えないな」

「姐さん、この際だから二口女で売り出したらどうです?」

「ヤダよ、あたしは色ものになんかなりたくないわ。ソレに静かに暮らしたいの。やっぱり楽に儲けるのはむずかしいねぇ」


 電話妖怪のケイは一緒だが。猫っ子は、ドコかへ。カメラ小僧は、帰る方向が別と。


 ヘビヅカヤは、池袋の駅前まで行かないとない。


「さすがにココじゃヒッチハイク出来ないね」


「前から妙なクルマが来るわ」


 タイヤがまがってガタガタいいながら走ってる。

 で、どう見てもライトの光じゃない。

 アレは提灯だ。

 腹の部分が横に開いてて中のロウソクが見えた。いくら深夜でも、あんなクルマ街なかで走ってたら目立つ。

 妖怪かな。


「やあ、あんたら人間じゃないな」


 目の前まで来て、マドから顔を出したのは骸骨。


「なんだガチャドクロか。姐さん、こいつガチャドクロ。昔の小物おもちゃから妖怪化したヤツ」


「ちょっと薄く光ってるよね」


「昔はキレイに光ってたんだが、はげてきて終いには染み込んだ塗料で薄っすらとね」


 今もあるのか? 昔、作り物の骸骨に光る塗料を塗って脅かすおもちゃ有った。

 アレの妖怪ね。


「このクルマ、カップ麺五つで河童から買ったんだ」


「イイクルマだね、そいつで池袋の駅近くまで乗せてくれないか」


「ああ、いいけど。前の提灯を後ろに付け替えてくれないか」


 狭い道路なのでUターンが出来ない。クルマの後ろも前と同じ作りだ。


 どうやって付いてるのか知らないが、わたしと静ちゃんで提灯を取り前へ。


「あんたら東京じゃないね。なんとなく東北のなまりがある」


「あんたらも独立した妖怪なんだ」

「ああ、化け提灯姉妹でおヒジリとヒーコというんじゃ」

「逆に向こうじゃなまりがないからよそ者だと。そうか……向こうも永いからなぁ。あたしは二口の静よろしく」


 ガチャドクロさんは、ハンドルをはずして後ろの席に。


「狭いけど、女の子なら。さあ乗って」


 歩くより速い程度。


 ガタガタとしてるわりに乗り心地は悪くない。

 クルマは明治か、大正あたりの物だろう。喋らないけど妖怪かも。


 やはりクルマも妖怪だろう。乗ったわたしたちは人間には見えない。


 クルマは池袋駅から少し離れたサンシャイン通りにあるヘビヅカヤの前まで。


「ありがとうガチャさん。コレ、お礼」


 と、リュックからカップ焼きそばを出した。


「いやぁいいのに」


 って言いながら受け取った。


「じゃ、また会えるといいな」


                つづく

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