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高速妖怪

25話 高速妖怪


 高速道路の真ん中を歩く傘をさした和服の人にそのまま突っ込んだ。

 が、跳ねた衝撃もなくクルマは進んでる。

 後ろを見たが、人など見えない。


「見たか、タチバナくん!」

「見ました。女性でした。金髪の女性でした。切れ長の目も」


 ぶつかると思った一瞬、振り向いたのを見た。


 クルマは停まらずにそのまま。


「そうだよな。美人だったよな。アレはなんだった……。橘君、横に座ってるのは」


「なんですか、真っ昼間から。ひいっ!」


 後部座席のボクの横に、高速道路を歩いてた女性が。


「美人って言ってくれてありがとね」

「あなた、どうやってクルマに」


 人間に出来るわけない。走ってるクルマに乗るなんて。幽霊か、妖怪。


「貴方たち私が見えるなんて……妖怪が見える人?」

「いや、そんな能力は」

「じゃ、どこかで妖怪と関わったのかしら」


 と、いいながら和服の女性はボクに寄って来た。


「関わった……先生、あります?」


「そんな経験はないが……」


「ボクもです」

「まあそんなコトはいいわ」


 寄り添って来た女性はボクのシャツのボタンはずし手を中に。

 Тシャツの上から乳首をさわられたので。

 ゾクッとした。

 片手はGパンのファスナーをおろし中に。


「ボーヤ、童貞の臭いがする」


 と、首筋に鼻を。くんくんさせる。


「でも、ココはビンビンね。お姐さんとしたいの」


 そんな、はじめてがオバケなんてやだ!


「やめろ! 妖怪」


 ボクは女性を押しのけた。


「怖くないわよ、ホラいいモノ見せてあげる」


 女性は着物の前をひろげて見せた。


「ウワァッ おまえは?!」


 まるで浮世絵のような男の巨大なモノがそそり立っていた。


「失せろ、変態ギツネ!」


「バレたかケケーッ!」


 消えた。

 やっぱり、あれは妖怪。


「キツネの妖怪だと、思います」


「アレはキツネか?」


「多分『振り袖狐』だと。タヌキやキツネはおどかすのを楽しんでるので正体がバレると逃げていきます」


「逃げるってクルマの中だし。なんでキツネとわかったんだ?」


「妖孤ですから、入れたんだから出れますよ。なんでわかったかって、あいつモノを出した時、玉袋の後ろに黄色いふさふさした尻尾が見えたんです。アレはタヌキじゃないなと。たちの悪い女妖怪じゃなくて良かった……」


「君のような妖怪通を乗せて良かった。一人なら僕はキツネ妖怪に犯されてたかもな……くわばらくわばら」


「あいつ変な事、言ってましたよね妖怪と関わったかとか。憶えがありません。軽井沢で『夜鳥火』という妖怪が見れると見に行ったけど見れませんでした」


「僕は青森じゃキリストの墓しか、見てないぞ」


「もしかして、青森に来たのは妖怪キリストで……」


「そうだとしても、違うな橘君。僕ら二人共あいつの姿が見えたんだ。何か共通の体験だよ」


「先生もボクも妖怪とは会ってませんよね。でも共通の体験と言ったら……アレですかね」


「アレ?」


「例の妖怪映画。先生のトコでネット配信で見ましたよね。あの映画、本物が出てるとバッズってますよ。もうすぐ出るソフトには御札を付けるとか」


「悪魔の出た映画でも御札付ディスクとか昔あったけど。あの映画見たらみんな妖怪を見るのか?」


「ソレはなんとも言えませんが、ボクがよく見る妖怪サイトには、あの映画見てから妖怪を見たという書込みが増えてます。その見た人の体質にもよると思います」


「レーカン体質とかか……が、僕はいままで霊とか見たことなかったぞ」


「ボクもです。後であの映画観た人たちに聞いて見ましょう」


「ああ……。妖怪振り袖キツネか、はじめて見たな」


「貴重な体験でした」


「ところで橘君は童貞だったの。いくつだっけ?」


「そんなこといいじゃないですか。先生、セクハラですよ」


「男にセクハラと言われたのは初めてだ。えーと三十こえてたよね」


「だからぁ〜」


               つづく


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