岩男邸
19話 岩男邸
埼玉県八潮市の岩男さんの家で。お昼をいただき。
「あなたに、こんな若い娘さんの知り合いがいるなんて驚きだわ。あ、まだおかわりありますから」
「ありがとうございます」
と、スパゲティのおかわりをする静ちゃん。
再婚の奥さんは人間で、たしか小さい子がいたはず。
「こちらの娘さんは、同級生の子で」
「父がお世話になっててて近くに行ったら挨拶してこいと。急におしかけてしまい、食事まで。ありがとうございます」
相変わらず静ちゃん、芝居はうまい。
岩男さんと静ちゃんは、ほぼ歳が一緒らしい。
奥さんがおかわりを入れに台所へ行くと。
「急な設定ですまんな。まあ適当に話しを合わせてくれや。で、また東京へか?」
「まあね、まだまだ行ってみたいトコあるし。当たり前だけど明治、大正とは大違い。昔の知り合いも変わったし、新しい連中も居た。前回楽しかったからね。そうだ、そんな新しい友だちからスマホ借りてんの番号教えておくね」
「お、そうか」
岩男さんはズボンのポケットからスマホを出した。
静ちゃんが知らない方法で番号やメールアドレス登録を簡単に済ました。
「へえーやり方教えて。借りもんだから、わからないコトだらけ」
「俺もな、あまり詳しくはないんだ。妖怪で詳しい奴知ってるから、連絡先を教えるよ。東京に居る。えーと妻保って、JKのかっこうしてる奴で、電話…」
「あ、知ってる。コレ、彼女のだもん」
「そーか。知り合ったか、あいつまえは渋谷をうろちょろしてたが、最近はあっちこっち行ってるらしいな」
「あたしらが出るまえに東京のネコ妖怪と遠野に来たよ」
「え、そっちの方まで」
「あたしらのマネしてヒッチハイクで、来たけど。帰りは新幹線で帰ったわ若いのは根性ないね」
「そうか……アハハハハ。確かにおまえより若いわ」
「あら、盛り上がってるわね」
「ああ、ビールでも飲むか」
「昼間っからやめてください」
帰り際、まえみたいに。
「少しだが、餞別だ、持ってけ」
「別にそんなつもりで、映画も出たから、いくらかわ……」
「気にするな。あの映画、観たぞ。いつもよりケバかったな」
「ソレばかり言われる」
「お、何処かまで送ろうか」
「大丈夫。すぐ東京だから」
岩男さんの家を出て。
まえは、電車乗ったけどヒッチハイクするのかな。
「あーは、言ったけど。ちょっと期待して寄ったんだ」
静ちゃんはもらった封筒の中を見て。
「あれ、カードが入ってる」
「ソレってテレビで見たカードだよ。いくらか入ってるんじゃ」
「そうなんだ、現金とは、別かな? それとも入れて使えとか……世の中変わったからねぇ。イタチも言ってた妖怪も金が必要。あ、でさぁあたしが徳川の埋蔵金を見つけたなんて、誰が言ったのかしら」
「誰だろう……ウソにも程があるよね」
「東京来て遊んでたからかなぁ。じゃ東京であった誰か、かしら……。もしかして岩男が見つけたのかも。けっこう羽振りもイイし」
「いくら妖怪でも、徳川の埋蔵金見つけたら大騒ぎだよ。小判とかお札に替えればすぐバレるよ」
「そういうモンかね……カネだけに」
「静ちゃん、オヤジギャグ?」
「オバケギャグとか」
「それも……」
「そうだ。ケイに電話しよう。ツマホ・ケイに電話と」
『は~い。姐さん。なに〜?』
「今ね、埼玉なんだけど。何処に居るの。一緒にご飯食べよ」
「さっき食べたばかりだよな」
「うるさい、醜女。夕飯だよ。あ、こっちのはなし」
つづく




