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初音ネギ?

18話 初音ネギ?


 草津で温泉に入り、温まってから。適当なトコで休んで翌朝ヒッチハイクを。


 軽トラックの女性に乗せてもらった。


「茹手あずきって、いうの私」

 

 ちょとせまいが三人で席に。荷台は何やら荷物でいっぱいだった。


「これは人間名で、私は小豆妖怪なんだ。わかるよ、あんたたち妖怪だろ」


「ええ、あたいは二口で、草双紙静」

「わたしは綾樫彩。二面です」


「そうか、あんたら何処から来たの地元じゃないよね」

「遠野です」

「って、何県?」

「岩手です」

「へえぇ随分遠くから来たのね。私は小豆を使ったアンコとか作って人間社会で暮らしててね。最初てきとうに小豆(ことう)アンって名乗ってたの。ある日旅の途中だつた文車妖妃に会ってね。もっといい名前付けてくれと頼んだら。茹手あずきと。あずきって名まえ気にいってんだ。文車妖妃、さすが学がある妖怪は違うね」


「あたしたちも文車妖妃に。あいつ、いろんなトコで名前つけてるなぁ」


 学が、あるのだろうが、意外とてきとうな気もするわ。小豆アンも可愛い名だと思うけど、茹手あずきより。

 濡れ女さんの柳行李麗もアレだけど。こっちのもアレだ。


 配達途中なので赤城山近くで降りて。静ちゃんの知り合いの「忠治ダヌキ」のトコに。


 そしてヒッチハイク再開。

 今度は、段ボール札に埼玉の熊谷と書いた。

 熊谷にも静ちゃんの知り合いが居るらしい。


「乗りなよ」


 今度は赤い軽自動車のオバさんだ。ホントに群馬は女性ドライバーが多いみたいだ。


「深谷の娘のトコへ行くから。熊谷のドコ? 駅のあたり?」


「深谷で、いいです」


「ネギ農家のトコへ」


「あら、娘のトコもネギ農家で羽生っていうんだ。ホレ、あの羽生なんとかというスケートの。アレと同じ羽生だ。ま、ダンナは農家だけどね」


「そうですか。あたしの知り合いは初音っていいます」


「初音さんねぇ聞いたことあるねぇ初音。初音……ネギなんて、ないか」


 初音とくればミク……ネギとか持ってたよね、あのキャラクター。


「初音みるくと言う名の知り合いです」


「初音ミルク……酪農してるの?」


「さあ今は何してるかぁ。昔はネギ農家でしたけど。久しぶりに行くんで」


 オバさんは深谷駅の前で降ろしてくれた。

 ココから熊谷方面に歩くと。


 看板が。


「初音ミルクって書いてある。ココ? 静ちゃん」


「ホントに酪農やってるのかなぁみるく」


「初音みるくは魅璃狗(みるく)という妖怪なんだ。あ、こっちに家がある」


「なんですか?」


 麦わら帽子のオバさんが。


「みるくね、あたし。二口よぉお!」


「二口ちゃん?」 


 静ちゃんの髪がふわりと上がり手のように振った。


「久しぶりね二口ちゃん! あかぬけたねぇ」


 応接間にとおされた。

 白いミルク茶というのが出た。


「二口ちゃん今までどこに」

「岩手の遠野に、あたしも人間名あるよ。草双紙静っていうの、こっちは友だちのアヤ。二面女よ」

「アヤちゃん、はじめまして。私は…」

「あ、静ちゃんから聞いてます、みるくさん。綾樫彩といいますです」


 食事をいただき。

 わたしたちの旅のコトを聞くと、よかったら泊まっててと。

 実は旦那さんも『ネギマ』という妖怪だった。

 

 翌日、埼玉といえば八潮の岩男さんの家まで初音さんがクルマで。


「おう、また来たか。寄ってくれて嬉しいよ」


               つづく

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