群馬のオジさん
17話 群馬のオジさん
金沢さんたちは、わざわざまわり道をし、群馬県の高崎近くまでおくってくれた。
前回の旅といい、二人にはお世話になる。
歩きながら、高崎駅の方を目指してヒッチハイクしてると。クルマが止まった。
クルマは普通の乗用車でドライバーは眼鏡をかけた小太りのオジさんだ。
「何処から来たの」
「昨日は軽井沢にいたけど出発地は岩手の遠野よ」
「遠野から。で、何処へ行くの?」
ヒッチハイクではお決まりのパターンの会話だ。今回は行き先を書いた札を下げてないから、なおさらだ。
「ん〜。とりあえず東京へ行くつもり」
「東京の何処。僕、若い頃東京に住んでたから、だいたいわかるよ。そこまで乗せてあげるよ」
「あ、いいです。わたしたち群馬も見てまわりたいので、高崎駅で降ろしてもらえば」
「なるほど、じゃ僕が、群馬を案内しますよ。え、お腹すいてる。じや何か食べに行きましょう。量は食べる方? 焼肉とか、好き?」
「はい、たくさん食べます。でも、あたしたちに貧乏旅行だから高い店は」
「そうか、じゃ安くて美味しい焼肉屋行こう。少しならおごれるよ」
と、焼肉屋さんに。
オジさん無理してんのみえみえで静ちゃんの分の代金払ってくれた。わたしのはランチメニューで安かったら自前で。
その後、オジさんは、簡単な観光案内と群馬のウンチク。ギャンブルが盛んとか、女性ドライバーが多いとか、高崎の観音様はウルトラマンより大きいとかを話しながら、走ってくれた。
最後に群馬の有名温泉地、草津まで行ってくれた。
「こんなに遠くまで。ありがとうございます」
「あんた、伊勢崎じゃなかった。いいの?」
「あはは、大丈夫。明日は仕事だから、帰るけど。群馬を楽しんでって。じゃあバイバーイ」
「行っちゃいましたね」
「うん、親切な人……ねぇアヤ気づいた?」
「多分、あの人。妖怪よね、妖気ただよわせてた」
「こっちにも気づいてたハズよ」
後で赤城山の忠治ダヌキに聞いた。
あの人はモギリンという妖怪だとか。普段は郵便配達をしている「人間界とけ込み妖怪」だとか。
人間の嫁を捜してるので美女には優しいと。
群馬の妖怪仲間に名が知れた妖怪だ。
でも、わたしたち妖怪と知って。嫁はあきらめたが親切に群馬の案内をしてくれた。
ありがたいねぇ。
つづく




