飛縁魔VSバイト
16話 飛縁魔VSバイト
「すみませ〜ん『幻創エンタ』です」
ガチャ
鍵の音? ドアが開く。
「あれ、誰も居ない。あのぉ上がります」
玄関から廊下を歩くと障子。
あれ? 玄関からここまでけっこうあるけど、さっき鍵を開けた人は走って戻ったのかしら。
「おじゃましま~す」
障子を開けると居間。
中央のコタツにボサボサの長い髪の人が座ってる。
この人が飛縁魔先生ね。
「たこ焼き、買ってきた」
「ハイ」
あたしは、たこ焼き3箱入った袋をコタツの上に置いた。
「あれ、コレどこで買ったの?」
「駅前のデパ地下です」
「タコQのじゃないじゃん」
とか、言って箱を開けてたこ焼きを指で押した。
「冷めてるわね、チンしてくれる。右の障子、開けると台所」
「ハイ」
あたしは、たこ焼きの箱を持って台所へ。
「ねえ高田くんはなんで来れないの」
「インフルエンザで休んでます」
「そう。あんた新入社員?」
「違いますバイトです」
「そうなんだ。たこ焼きはタコQのって言われなかった? 数はあってるのに」
「たまたま、高田さんから電話が入ってて、たこ焼きは3箱持って行けと」
「店は指定しなかったんだ」
「はい……」
「あんたタコQのたこ焼き知ってる?」
「知ってます。美味しいですよね、あそこの」
「なら、そっちを……」
「あーあそこはいつも並んでて、遅くなっちゃうから、デパ地下で」
「高田くんは、並んで買って来た。べつに遅れてもこっちは困らない。美味しいのが食べたかったなぁ」
「でも、遅れたら叱られると思って」
あたしは一箱目をチンしてコタツの上に置いて二箱目をチンしに。ココの電子レンジだと一箱ずつしか温められない。
「あ〜こいつはイマイチだなぁまあ温めれば食えるけど……」
二箱目を持ってくと一箱目は食べ終えてた。
早い!
三箱目を持ってくとやはり。
「先生。原稿をおあずかりします」
先生はコタツの上のポットからお湯を入れお茶を飲みながら。
「ないよ。原稿はまだ出来てない」
「えーそれは、困ります。早くあげて下さい!」
「はーっお腹いっぱいになったから寝てから書くわ」
「それではあたしが来た意味が」
「高田くんは、そんなこと言わないわよ」
「まってください、編集部に電話します」
あたしはバッグからスマホを取り出し。
「あ、副編集長。飛縁魔先生の原稿あがってません。え、そんなぁ。あたしぃ夜には……」
「じゃおやすみなさ〜い」
ビンボォオオオン
「先生、お客さんが」
「でてぇ」
「もう入ってるよ姉さん。タコQのたこ焼き買って来たよ」
「褒めてやる。ちこぉよれ♪」
飛縁魔先生がもう一人! 姉さんって。妹さん?
そっくり。赤ばんてん着てるけど下の緑のジャージも一緒。
「あ、姉さん。愛人が来てたんだ。おじゃまだったかな」
「愛人。私にユリの趣味はないわ。出版社のバイトよ」
「そう……バイト。あんたどこかで見たような……」
言われてみれば、赤ばんてんに緑のジャージ姿。
「赤名めじろの屋敷前で!」
ふたりはハモった。
つづく




