静怒る
15話 静怒る
「カマイタチ様。蔦が、蔦が燃えてます!」
「ええ?!」
静ちゃんをぐるぐる巻にしていた妖怪蔦の上の方が燃えだしたのが見えた。
その勢いで静ちゃんの髪が爆発したように蔦を破って拡がった。
「オカマぁああ!」
「ウワァ、者共かかれ!」
わたしの後ろのイタチアパートから鎌を持ったイタチたちが飛び出した!
が、四方に伸びた静ちゃんの髪がイタチたちを。
髪に巻かれるイタチや殴られるヤツ。
鎌を振るが、静ちゃんの髪は切れない。
「なんだと、二口女の髪がこれ程とは、ひいっ髪の毛が……いやぁ」
「アヤ、いつまでぶら下がってるの!」
静ちゃんの縛りがとけたので。
「裏アヤ!」
こちらは、妖怪蔦じゃないので力を入れたら簡単に縄は切れた。
両脇のイタチは右を裏蹴りで、左を手刀で倒すと静ちゃんのトコへ。
「物足りないな、もう少し暴れたいぞアヤ」
「草双紙、コレで昔の借りは全部返した」
「あ、濡れ女さんだ」
手の上に鳥のような形の火がゆらいでる。
あの火は、もしかして夜鳥火かしら。
「人には害はない火だが、妖怪はよく燃えたビ」
「あんた、夜鳥火だね。助かったよ」
「べっぴんさんの役に立てて嬉しいビ」
「さてカマイタチ、あんたはどうしようかな」
カマイタチは静ちゃんの髪にぐるぐる巻に。
今は付けまつ毛をしたイタチの姿だ。
「後ろの口元に運べば喰っちゃうだろうけど、あんた骨皮でまずそうだし、アヤをキズつけたからねぇ〜。ただじゃすまないよ。地獄のオニさんとでも仲よくしてもらおうかな」
「おわぁあ。二口が怒ってるぞ、カマイタチ!」
いつもの静ちゃんに見えるけど。旧友の濡れ女さんにはわかるのかな。
「ヤカンヅル!」
地響が。
イタチアパートが崩れ太い大きな筒のようなのが。
あれは見るのは、はじめてだけど妖怪ヤカンヅル。
巨大な腸ようなヤカンヅルが、うねってるように動きだし。
真っ黒な大きい口に静ちゃんの髪で絞められた、カマイタチたちが吸い込まれる。
「ひいっやめて~」
静ちゃんの髪がカマイタチを持ち上げヤカンヅルの方に。
「ごめんなさ〜い」
つづく




