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微妙な怪談

11話 微妙な怪談


 都内某居酒屋


「狐の嫁入りですか。あの、日がさしてるのに雨が降る……」

「ああ、子供の時だが、見たんだ」


「何をです。副編集長」


 ボクの横の唐沢さんが唐揚げを手でつまみながらボクを見て。 

 ボクの口に唐揚げを入れた。

 酔ってる、唐沢さん。


「嫁入だ。しかも、狐じゃない!」


「なんの嫁入りですか? カエルとか……」


 もう一つ唐揚げをボクの口に。


「カエルの方がリアルだったかもな。人形だ昔、リカちゃん人形とかあっただろ」


「今もありますよ副編集長」


 また唐揚げをボクの口に。


「唐沢さん、もう入りません!」

「あんたが、無理やり入れて来るのと同じよ」

「なんのことですか?」


「あ、すいません。で、副編集長。リカちゃんとナニしたんです?」


「べつに俺は何もしてない。嫁入りしてたのがリカちゃんだったんだ。純白の和服を着ていた。今でもよく憶えてる。それがな、ウチの隣から、向かいのウチのワタルくんトコにだ。周りにパパのピエールや双子を抱いたママや他の人形やぬいぐるみが二人の結婚を祝ってた。リカちゃんとワタルくんは向かいの家に消えてったんだ。誰も信じないが本当に見たんだ」


「副編集長、ソレは、和製『トイ・ストーリー』ですか?」


「言われてみれば、そうだな。しかし、コレはウソじゃない。子供の頃に見た怪異だ」


「でも、副編集長。お題は『怖い話』ですよ。全然怖くないです」


 唐沢さんが今度は焼とりを串ごとボクの口に。


「あぶないですって!」


「いいじゃないの好きなんでしょ皮……これ、あんたの皮だったりしてケケケッ」


「次、高田だ。皮かぶってる高田、怖い話いけ!」


 何言ってんですか! 皮かぶってるって。


 失敗したな、先に皆、酔っぱらってきた。

 立場上先に酔えないから、控えてたら。


「高田く〜ん。まだぁ」


「はい、先日会社の屋上で薄ぺらな女の顔が髪をなびかせ飛んでるのを見ました。それって、まえに唐沢さんがお台場で見たという一反姐さんではないですか」


「高田くん、それは間違いない! 一反姐さんよ」


「でもさぁ。副編も、高田くんもただの目撃談でさぁ。怪談話じゃないよね〜。霊に焼きとりの串、肛門に入れられたとかさぁないの?」


 一条さん、酔ってるわりに冷静に聞いていたんだ。でも、肛門に焼きとりの串ってなんです?


 終電間近に、なったので居酒屋を出て、副編集長は一条さんと。

 ボクは珍しく悪酔いしてる唐沢さんを徒歩で行けるマンションまで、おくることに。


「大丈夫ですか唐沢さん。今日はどうしたんです」

「いとこの弥生ちゃんが結婚しちゃたのよぉ」


 そういえば一昨日の祭日、結婚式があったのに仕事に。

 休んでもいいと。


「私、好きだったの……弥生ちゃん……」


 わぁ唐沢さん泣き出した。

 泣くほど。って、唐沢さん、いとこさんと、そーゆー関係なのか?


「一緒によく寝たのよぉ〜キスもしたよぉ」


 寝た。キスした!


「中二の夏休みぃ〜」


 子供の頃か。中二、ん〜なんだか微妙な年頃だなぁ。

 「ゆり」ってヤツかな。


 唐沢さん、よたよたで。肩かすより楽と、おんぶした。


 マンションの前まで来ると、マンションの街灯が点滅してる。アレ、かえどきだななぁ。

ん、下に人が。

 人がしゃがんでる。

 女の子みたいだ。

 近づくと女の子は立ち上がった。

 後ろ姿、おかっぱ頭なのはわかる。

 白いシャツに背中に赤いX。

 スカートの吊り?

 その姿に、頭に浮かんだのは「トイレの花子さん」。

 ここは学校じゃないから、そんなのは出ない。


「どうしたの高田くん」


 女の子が振り向いた。


「あじゃぱぁあ」


「うわぁあ!」


 女の子の顔には口しかなかった。その口が耳までさけ、意味不明の言葉を。

 ボクは腰を抜かしてしゃがみこんだ。

 視界から女の子が消えた。


「高田くん、今のは……」

「なんですかね」


 今度は猫耳の女の子が、現れた。

 手を地面に着け、四足で。


「今のはバンジュン子娘だニャ。おどかすだけだから心配ないニャ」


 と、言うとマンションの上の方へ駈け上がって消えた。


「アレは化け猫娘かしら……」

「バンジュン小娘ってナニ?」


              つづく

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― 新着の感想 ―
[良い点] ああたね。伴淳であじゃぱーなんて、昭和ですよ昭和。 もうね、トンデモハップンですよ。ふんとに。 [気になる点]  場面転換なんか、小説というより映画か舞台の脚本のような書き方。ちょっとわか…
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