遠野から再び
1話 遠野より再び
「この中に犯人がいます」
「わたしは犯人じゃないわよ探偵さん」
「わかってます。お嬢様ではありません」
「しかしだな、アヤカくん。この中で怪しいのはアリバイがいい加減な、お嬢さんと、キミだよ。しかも、キミとお嬢さんは、殺された埼多間氏にゆすられていたらしいじゃないか」
「万田刑事。たしかにあたしとお嬢様のあの場面を埼多間氏に見られゆすれてましたが」
「いったい何を見られたのかね?」
「それは、あたしとお嬢様がHをしていたところです」
「何を言うのです。私たちはそんな関係では……」
「また、見てんのか」
「あ、おかえりマカさん。今、謎解きのいいトコ」
「ポテチ、もらうぞ。そのアニメさ、けっこうエロいよな、こないだレズなベッドシーンとかあったよな」
「原作がエロ雑誌に載ってたからね」
「そう。妖田 開……知らねえ名だな。しかしようオレの住所勝手に使うなよな」
「教えてと、言われたからつい。まあヒッチハイクで乗せてくれたから。まさか、こんなの送ってくれるなんて」
ヒッチハイクの時に乗せてくれた漫画家の妖田先生が、テレビアニメ化した自分の作品のブルーレイを送ってくれた。
空き家に住んでるわたしたちには見れないのでマカさんちで見てる。
ブルーレイどころかDVDデッキもなかったマカさんち。
静ちゃんがもらった映画の出演料からブルーレイレコーダーを買い、テレビにつないで観ている。
ガラッ
「うわっつ、おどろかすな!」
「たまたま、来たら。あんたが窓を開けたんだ。おどろかす気はない」
「あ、一反姐さん。こんばんわ〜」
「『愛すれば冬』の続き見せてくれ」
「おまえ、韓国ドラマにハマってるなぁ」
「日本のも好きだ」
「あれ〜。誰か冷蔵庫のプリン食べたな」
「あ、ゴメン。開けたら入ってたから」
「って、勝手に食うな! 夕飯の後のデザートにと、買ってきたのに」
「ゴメン、マカさん。買ってくる!」
静ちゃんが立ち上がった。
が、マカさんの前に行き。
「お金ちょうだい」
「プリンくらい買える金あんだろ」
「いや、文無しですぜ、ダンナ」
「誰がダンナだ。んじゃコレでプリン4個」
「ありがとう。マカさんわたしの分も」
「ああ、原稿料入ったからな、ついでだ弁当も買ってきてくれ……ん、なんだ静?」
「あたしら夕食まだ」
「わかった、みんなの分も買ってこい。だが、静の分は一個だからな」
「ちえっ」
「舌打ちしない」
あ、読者の皆さん。お久しぶりです。綾樫彩です。
「アヤ、誰に話してる」
あ、今のは裏アヤです。詳しくは前作読んでくれると嬉しいな。
じゃまたね。
つづく