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短編集

魔法使いの皇子

作者: 中野楓

 この国には天才魔法使いがいた。名をアルラティアス・フナラ。この国の第二皇子であり、15歳で王立魔法学園を首席で卒業。その後は皇子としての職務の傍で魔法の研究をしていた。しかし彼が16歳になった時、彼の存在はあまりにも大きすぎるが故に、一部の貴族の反感を買い、遠征の帰りに盗賊に襲われ以後行方不明となった。現場には王国の騎士達と盗賊の遺体など波が残されていた。


 あれから5年の月日が経った。今日は王国の誕生祭の中日で街は人で溢れ皆明るい様子だ。そんな中王宮に1人のローブを纏いフードで顔を隠した男が現れた。その男は名乗らずに顔と肩にあるあるものを見せ、城に入って行った。

「ここも5年ぶりか。皆んな元気にしてるかな?取り敢えず父上の元に行こうか。連絡はいってるだろうし早めに行こう。」

そう言い、執務室へと足を向けた。しかしその足が踏み出されることはなかったら。

「おかえり、アル。色々聞きたいことはあるけど取り敢えず父上のところに行くよ。」

「わかってるって、フラム兄さん。…ただいま。」

 そして国王の執務室に入ると、父上に母上、妹のセリーが揃っていた。

「アル、よく帰ってきたな。早速で悪いが、何をしてたんだ?お前の残した言葉だけなら、5年もかからずに終わっただろ。」

「いや、それが俺を殺そうとしたのはこの国のやつだけじゃなくてね、色々調べるついでに色々回ってたらこんなにかかっちまったよ。」

「ふーん、アル兄様はその間冒険者にでもなってたの?」

「まあ、そんなとこ。偽名と姿を変える魔法でな。その方が都合も良かったしな。おかげでできた情報網もあるしな。」

実際その情報網のおかげで、だいぶ早く戻ってこれたからな。ホント()()()()には感謝だな。

「そう言えばアルの冒険者の名前とランクって何だ?」

冒険者ギルドにはランクというものがある。下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、そしてミスリルとなっていて、多くの冒険者はゴールドで止まってしまうので、プラチナやミスリルとなると名だたる組織から指名の依頼が届くほどだ。ミスリルに至っては、かなりの特別待遇がある…という噂だ。

「俺?アルティアって名乗ってたな。ランクは「は?アルティア?あの最近ミスリルになったって言う?」…遮らないでよ、父上。はい、これギルドカードね。」

そう言って見せたのは冒険者ギルドが発行するギルドカード。そこには名前と役職(剣士など)、そして現在のランクが書かれている。またこれは身分証明書としても機能している。

「…うわ、マジじゃん!ミスリルとか本物見たことないわ。」

「そりぁそうだ。今ミスリルに到達してるのって10人くらいだぞ。」

「正確には13人いるな。まあ指名するのはおすすめしないぞ。アイツらよくも悪くもイカれてるから。それに誰かの指示を聞くような奴らじゃないからな。」

「…噂によると、アルティアもなかなかやばいって聞いたけど?」

「エ?イッタイナンノコトダロウナ。アハハ、オレ、ヨクワカラナイ。」

…いやマジでアイツらに比べれば俺なんかまともだぞ。…性格に関しては諦めてくれ。

「にしてもアルティアスは立ち振る舞いを乱雑に見せてもどこか崩しきれてない感じがするな。」

「そう言えばそうね。昔の癖かしら?」

「そりゃ、人目を気にしながら生活してたもんでね?言葉遣いは大分馴染んだけどな。…まあ、とりあえず俺を殺そうとした奴を()()」しないとな。証拠はこれにまとめてあるから、後はよろしく。」

「ああ、もちろんだ。まあ色々聞きたいこともあるが取り敢えず今は休め。」

「もちろん、そうさせてもらうよ。」

ぶっちゃけた話、最近何度かストレスやら睡眠不足やらで倒れそうになってたから有難い。

「俺の部屋は変わってないよな?」

「勿論だ。ものは多少変わってはいるが、場所は同じだ。」

「じゃあ、おやすみ。」


 それからしばらくして、第二皇子の生存が大々的に発表された。行方不明の理由も説明されたが、流石にミスリル級の冒険者ということだけは伏せられた。…まあ、ギルマスと同じミスリル級の奴らにはバレただろうが、彼らの口から漏れることはほぼないと見てる。そもそも話しかける勇気のある奴はなかなかいないからな。

 そして俺はと言うと、皇子としての仕事をこなしながら魔法の研究をする日々を送っている。兄上が国王になることは確定しているので、俺の方は割と自由にやらせてもらえている。婚約者なんかは候補を出されてはいるが、正直言って興味ないので無視している。

「あっ、そういやミスリル級に召集かかってたな。…めんどくさいけど、行きますか。一応魔法はかけるか。」

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