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そして、侯爵家へお義母様からお茶をしにおいでと言われて、久しぶりに侯爵家の庭でお茶をしている。
お義母様からボンクラ馬鹿息子と結婚させた事を改めて謝罪されたわ。私も太っていたし、仕方がない部分もある。
「そういえば、お義母様。私気付けばランスル様と3年以上会っておりませんわ。ランスル様は今どうしているのですか?」
「あぁ、ランスルはね「母上!」」
お義母様を呼ぶ声で振り返るとランスル様が立っていた。
「母上!こんな綺麗な、傾国の美女と言っても過言では無い御令嬢とお茶をしているなんて。何故、俺を呼んでくれないのです!?」
・・・。
お義母様も私も開いた口が塞がりません。従者の1人はランスル様を見て素早く居なくなりました。
「ランスル。あちらへ行きなさい。お前は離縁したでしょう?」
「母上。独り身だからこそ、ですよ。御令嬢、お名前を伺ってもよろしいですか?」
キラキラの偽王子スマイルめ!!
「グレースです。」
「え!?」
「グレースです。」
「・・・。」
えぇ、何度でも言いますよ。
「グレースです。」
お義母様、ぷっと吹きましたね。
「お忘れですか? 元 旦那様?」
「何故、離縁したんだ!」
「会うのはかれこれ3年以上ぶりですわね。その間、貴方は何をなさっていたのかしら?」
「離縁をされるとは思ってなかったんだ。今なら間に合う。今から俺と寝所を共にすれば良い。」
お義母様の眉間に皺が寄りましたわ。間に合うって。無理に決まってますのに。
「あの時、私は言いましたよ?私と寝所を共にする最後の機会ですわよ?良いのですか?と。
ランスル様は気持ち悪い事を言うな!お前とは生涯寝所を共にしない。俺は部屋に戻る。じゃあな、達者で暮らせ。と仰ったではありませんか。」
「へぇ。兄さんはそんな事言っていたんだ。グレース。怖かったでしょう?」
従者と共に現れたサルトさん。
「サルトさん。」
「サ・ル・トだよ。もう一度言って欲しいな。」
サルトは私の手を取り顔を近づけ、促してくる。
「・・・サ、ルト。」
お義母様は私とサルトのやり取りに呆れながらも微笑っているわ。
「サルト、お前こそ関係無いだろう。あっちへ行け。」
「そういう訳にはいかないんですよ。グレースと正式な婚約をしたのでね。
グレース。僕はいつまでも待ちます。今度、王都で各地の特産品を集めて販売する事になったようです。
我が領地からも出品予定だそうです。一緒に見に行きましょう?
あぁ、そうだ。兄さん。父上が呼んでいたよ。新たな婚約者が決まったそうだよ。」
ランスル様の眉がピクリと上がった。何かを話そうとしていたけれど、従者に無理矢理連れて行かれたわ。
それにしてもいつのまにか婚約していた私。
気付けば真綿で包まれるように優しく外堀を埋められていたのかもしれない。
婚約者となったサルトはゆっくり私の歩調に合わせて歩んでくれたし、欲しい言葉もくれたわ。
時間は掛かったけれど、恋愛して歩む事が出来たと思う。
ランスル様の再婚相手はというと、それまでの浮名を流し過ぎたせいか、近い歳の娘達から警戒されて、全てお断りされ、仕方なく年の離れた未亡人の婿に入っていったわ。
たまに会う度にやり直そうと言われるけれど、社交辞令だと思うのよね。
サルトと結婚した時は両親もサルトの両親もようやくかと笑っていたわ。領民達からも祝ってもらえて凄く嬉しくて、私は幸せ者だわ。
【完】
伯爵としては大事な娘が白い結婚で帰ってきた。娘の領地改革は目を見張る物がある。
本人が望むなら我が家の領地に帰り好きなように改革させよう。サルトと1年領地で仲良く過ごせていたのは知っている。
侯爵家の跡取りに相応しいサルトなら考えてやらんでも無い。と漠然と婚姻に対しては傷等と考えておらず、娘1番で娘が良ければと考えていた様子。
短い話でしたが、お読み頂き有難う御座いました。




