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 翌日から馬車に揺られる事5日間。流石に疲れたわ。いびきをかきながらほぼ寝てばかりだったけれど。


一応、道中暇な物でお義父様から領地の書類は貰って目を通したわ。


特産品がない。


そして、領地はほぼ麦畑らしい。


水は豊富にはあるみたいだけど、たまに干ばつが起こるみたい。前世では田舎に住んでいた専業主婦だったし、野菜は自宅で作っていたから農業に親しみはある。


でもそれくらいの経験しかないわ。少し不安は感じるかな。領地に着くと、邸を管理している老夫婦が出迎えてくれたわ。


「グレース様ですかな?私はこの邸と領地を管理しているハヌマンです。部屋と料理の管理をしているのは妻のアンナです。宜しくお願いします。」


「紹介有難う。知っている通り、私はこの間ランスル様と結婚したグレースと言います。


侯爵様から此方で好きなように過ごしていいとの事なのでどんどん好きにさせて頂きますね。あと、私の後にいるのが侍女のカリンです。」


王都から付いてきてくれた勇者。私に引けを取らない程のポジティブ思考。荷物も部屋へ移したし、アンナのご飯は美味しいし、最高ね。


ハヌマンもアンナも巨漢な私を嫌う事なく接してくれたわ。有難い事だわ。


カリンに至っては『デブリンちょでいびきがうるさいけれど、ぬいぐるみのように可愛いから受け入れられたんですよ。』と褒めてるのか貶してるのか。


脂肪マッサージと称して私の二の腕で癒されているのを知っているのよ!カリンめー。


おっと、本分を忘れていたわ。私はアンナを労りたいと理由をつけて晩ご飯は私が料理をする事にしたの。


 やはり王都に比べて田舎のため各家庭食べる用の野菜が栽培されていて必然的に野菜料理が多くなる。


肉はベーコンや鳥といった所かしら。なんてヘルシー。前世の経験は確実に生きているわ。みんなが美味しいと食べてくれるもの。



 領地に関しては翌日から視察をして回ることにしたわ。やはり侯爵様もいい人だけど、領民もいい人達ばかりね。


私は書類を見て思っていたけれど、溜め池が無いのよ。


これでは干ばつ被害を減らせないわね。領民の人達と集まり悩みを片っ端から聞いて回った。


1番問題となっているのがやはり数年に1度の干ばつ被害。そして収穫量。


肥沃な土地では収穫量は倍程違うのだとか。苗が弱いらしい。え、弱い?麦踏をしていないのかしら?聞くと、どうやらした事は無いらしい。


 一通り問題を聞いて執務室へと戻る。素人で悪いけれど、考えつくのは溜め池。あと肥料ね。お父様に手紙を出しましょう。


溜め池の知識がある方を寄越してくれるかも知れない。すぐに出来る事と言えば、麦踏や鳥よけネット。次に考えていた肥料については現在野焼きと家畜糞のみ。


街の飲食店や屋敷から出るクズ野菜を使うのが1番コストが安いわ。卵の殻や魚の骨も忘れずに。ワインは隣の領地で作っていたわよね。


ぶどうの搾りかすを少し頂く方がいいわね。安上がり、無料!なんて素敵な言葉なの!!


色々と考え紙に書いて行く。


 朝はボカシ作り、昼はハヌマンと一緒に執務。夜は晩ご飯と特産品作り。瞬く間に日が過ぎていく。


 朝から晩まで動き回って野菜中心の生活の私の体重もどんどん減っていく。あぁ、身体が軽くなっていくのが分かると楽しいわね。


 そしてお父様から技術者を借りる事が出来たの。むしろ褒められたわ。領地の各場所に溜め池を掘り、時間は掛かるけれど、技術者のおかげで無事に出来そう。


 肥料作りも順調で最初は無料にして収穫量が増え次第お金を取って売るシステムに変える予定なの。


後は特産品作り。これは、ごめんなさい。前世からの知識チートしました。町の人に作って貰い、王都へ私は宣伝にたまに出掛けるようになったわ。



 最初の年は領民達も半信半疑だったけれど、私を信じて付いてきてくれたおかげで2年目から質も量も申し分ない程の小麦になり、それを実感した領民達はさらに協力してくれるようになったの。


特産品宣伝のために王都に出かける時は侯爵のお義父様の邸へ泊まり、領地の報告。


 帰りは伯爵家へ寄って小麦の買い取り契約や特産品を見せて帰る。お父様は商売上手だから質の良い小麦や新しい商品を商会を通して販売し、売り上げを伸ばしているわ。


侯爵家も伯爵家も儲かる。ふふっ。もちろん侯爵様にはきちんと報告してあるし、問題ない。むしろ喜ばれているの。


でも、侯爵様やお父様は会う度に痩せていく私をとてつもなく心配していて、食事時には必ず私の好物がこんもり盛られてくる。ダイエットしているだけなのに。


 ここは少し親達の意識は改善しないといけない所よ!私は食べる物が無いのではなく食事改善という名のダイエットなのよ!


そういえば、ランスル様とはあれ以来会っていない。お義父様もお義母様も会えとも言わないし、むしろ王都に来ているのを黙ってくれているわ。


優秀なメイドが言うには、騎士団に所属しているらしいけど、根性を叩き直すために職場の上司にお願いして訓練をハードにして貰ったり、勉強をし直したりさせているそうな。


本人は休憩と称して逃げ回っているのだとか。あのクズは何やってるんだか。


そしてなんて良い義家族なの!?っていつも思う。やはりクズ息子はどうやって出来たのか不思議でたまらないわ。

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