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あまり深く考えずのんびりとお読み下さい。

誤字脱字報告有難う御座います!

 私、河原未來ことグレース・ヒル伯爵令嬢、もうすぐ学院卒業の18歳。身長170センチ体重ギリギリ2桁。つまり超巨漢です。


幼児期は国内一の美少女と言われる程だったのだけれど、家族愛に溢れすぎました。毎日、父や母と弟、従者達に可愛がられてケーキを1ホール食べ続けた結果がこの通りの巨漢。


気づけばどこに居てもすぐ見つけられる体型になっていました。今まで幸せたっぷりに育っていた私は舞踏会でも学院での生活も全く気にしていなかったのです。


 クスクス笑われる事もあったと思うのだけれど、あまり覚えていないわ。お友達も優しかったし、きっと周りに恵まれていたのね私。


 小さな頃に決められた私の婚約者のランスル・スカイ侯爵子息。学院に入学する頃から私と会うのを避け始め、会話も家に来る事も無くなり、別の女の子とデートしたりと色々噂が立ち始めたの。


私だって一応婚約者よ?政略結婚とは言え、目立つ行動は控えて欲しいと思ったの。だから、彼に学院帰りに


「色々な御令嬢との噂が絶えませんわね。外聞もありますし、少し控えて欲しいわ。」


と初めて彼に告げたの。すると、彼は


「はっ?外聞?なにいってんの?お前程のデブ。臭いし、近寄ってこないでくれ。会話もしたくないし、視界にも入れたくねぇんだよ!!」


そう言って私を力一杯突き飛ばしたの。彼はそのまま御令嬢の肩を抱いて馬車に乗り込んで行ったわ。


 私はというと、壁に背中と頭を打ちつけて倒れ込んだ拍子に前世を思い出しちゃった訳なんだよね。


気分は超最悪よ。


 自分の太ましさにも嫌気がさすし、アイツの婚約者としての態度や言葉遣いにも嫌気がさしたわ。


 帰宅後すぐにお父様の所へ行って婚約破棄を願い出たの。お父様からは娘可愛さにすぐ婚約破棄をもぎ取ってくると話をしていたのだけれど、相手の侯爵様はどうしても無理だの一点張り。


 我が家の支援無くして侯爵家は成り立たないみたいで、息子をなんとかすると言われたの。爵位が上の家から拒否されたら何にも出来ないこの貴族社会。


はぁ。私の将来は絶望しかないじゃない。


 お父様も泣く泣く学院卒業と共に婚姻しなさいって。でもね、世の中には白い結婚って言うのもあるんだよってお父様は言っていたの。


3年枕を共にせず、教会に駆け込んで身綺麗な事が証明されたら離縁出来るらしい。その後、伯爵家に帰って家の手伝いをしてくれれば良いって言われたわ。


 私が侯爵の娘でいる間は侯爵家の領地をグレースの好きにしても良いって約束を取り付けてくれたみたい。その話を聞いた途端に目の前が開けて小躍りしたわ。


身体が重くてドスドス地響きが凄かったけれど。


よし、そうとなったら準備をしなくちゃ。


 

 お父様と侯爵様夫婦の協力の下、学院卒業後すぐに結婚式を挙げる事になった。侯爵様から結婚後、侯爵家領地に私が行くと助かると話があったらしい。


 侯爵様は王都から領地が遠くて領地経営もままならないらしい。侯爵様夫婦の領地経営はというと凡庸らしく災害で借金が発生してしまってからは衰退を辿っているの。


ただ2人とも人柄はめちゃくちゃ良い。何であんな良い親なのに屑息子が出来上がるのか不思議で仕方がないわ。





 待ちに待った結婚式。ドスンドスンとヴァージンロードを歩く私。


涙しながら応援してくれる従者と友人達。


私、負けないわ!(何に?)


ランスル様は不満を隠そうともせず式の最初から最後まで眉間に皺が寄ったままで一言も私との会話は無かったわ。



「グレース様、明日から領地へ向かう準備は整えております。本日はゆっくりとお休み下さい。」


 侯爵家のメイドさんが丁寧に旅の準備と寝る準備をしてくれたみたい。もちろんランスル様とは別の部屋。


ベッドへ入って寝ようとしていると、扉が開いてびっくり。部屋に入って来たのはランスル様。


「グレース、お前はもう寝るのか。当たり前だな。初夜を期待されても困るからな。お前なんかでは勃つ物も立たないからな。」


何を言いにきたのかしら?


「ランスル様、何か御用ですか?」


「お前、舞踏会はどうするんだ?夫婦同伴なのを知っているだろう?」


「あら、私の心配をして下さるのですか?嬉しいですわ。けれど、お義父様とお義母様からも出なくて良いと許可を頂いておりますの。


私は病で明日から領地へ向かう手筈になっております。心配はいりませんことよ。


それとも、私の目の前で不貞を見せつけるのがランスル様の性癖なのでございますか?」


「ばっ、馬鹿な事をっ、そんな性癖あるかっ!」


若い女が性癖と口にするなんて、とブツブツ呟いているわ。女という事は認識はしているのね。


「ランスル様、私と寝所を共にする最後の機会ですわよ?良いのですか?」


一応、最後の確認は怠らないわよ。


「気持ち悪い事を言うな!お前とは生涯寝所を共にしない。俺は部屋に戻る。じゃあな、達者で暮らせ。」


バタンッと勢いよく扉が閉まる。よし。言質は取った。



おやすみなさい。

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