初めての戦闘
前回のあらすじ
リールとロシーアはお互いを理解した。
ロシーアは即死の薬をリールに渡し、責任を持つことを条件に今は様子を見ることにした。
そしてついにダンジョンが復活の日が来た。
~ダンジョン入り口~
天気は快晴で、朝早いのに人がダンジョン入り口に集まっていた。
ガヤガヤ
『やっと稼げるようになるよ~~』
『ホントに治ってる~』
『今回は役人様に感謝だな!ワッハッハ』
『愚民どもめはしゃぎすぎだ。』
そしてあの冒険者一行もいた。
戦士『ついに復活だな!』
魔法使い『今日は遅刻しないんだな~戦士。』
バチバチする戦士と魔法使い。
僧侶『まぁまぁ~、あ!ロシーアさんお久しぶりです!』
戦士『どこいってたんだよ~~!たまには酒場に顔出せ!』
ロシーア『・・・・・・すまなかったな。』
魔法使い『ロシーア最近おかしいよね~~~』ニヤニヤ
戦士『おい・・・あいつ・・・。』
戦士がそう言うと、エルートがボロボロの服を来てと木の棒を持って遠くに立っていた。
戦士『あいつ・・・なんか逞しくなっていないか?』
魔法使い『もしかして、ダンジョンに入る気・・・?』
僧侶『それは自殺行為じゃ・・・。』
ロシーア(どういうことだ?リール。見たところエルートはレベルUPもしていないが。)
ロシーアは何かに気がつき、微笑した。
ロシーア(そうゆことかリール。お前は厳しい師匠だな。)
僧侶『ロシーアが笑ってる・・・・』
ロシーア『好きにやらせればいい、死のうが生きようが・・・所詮忌み子だ。』
魔法使い『ロシーアいつになく毒舌だね・・・・。』
戦士(何かあいつにあったら助けてやろう!)
ロシーア『戦士!あいつを助けるなよ!あいつが選んだ道だ。』
戦士(やべ!ばれてる・・・。)
戦士はしょぼんとした。
僧侶が戦士に耳打ちした。
僧侶『なにかあったら忌み子くんに回復魔法くらいかけますから(ボソッ)』
戦士(天使!!!!)
当の本人エルートはビビりまくっていた・・・。
エルート『おい!リールなんだその姿は?』
リール『指輪の擬態化だけど。』
エルート『なんでお前指輪になってんだよ!一緒に戦うんじゃなかったのかよ!』
リールは指輪になって、エルートの指にはめられていた。
リール『ダンジョンには貴族関係者や役人もいる。私は見つかったら終わりなの!だから今日はあんただけ頑張りなさい!』
エルート『レベル0の新米がダンジョンに入るのは自殺行為じゃなかったのかよ!!!!ていうか早く経験値よこせ!契約違反じゃないのか!』
リール『私はあなたの契約者だし、師匠でもあるの!文句あんの?』
エルートは渋々折れた。
リール『低層なら任せて!私もレベル上げには苦労したんだから!色々教えてあげる!』
エルート(経験値保証契約の意味がねーーーーじゃんかよ!!!!)
エルート『レベル上げには苦労した・・・?リールお前何レベルなんだ?』
リール『うるさい!ホラ!もうみんなダンジョンに入っているわよ!早く行く!』
エルート(なんか重要ことをはぐらかされた気がする・・・。)
ダンジョン広場には人がいなくなっていた。
ダンジョンに入るエルート、少し歩くとあの扉が見えてきた。
エルート(まさかダンジョン入るとは思いもしなかった。ここまで色々あったな・・・。基本良い思い出ないけど・・・・。)
感慨にふけりながら、ダンジョンの扉を開けると・・・。
松明に照らされた、洞窟が姿を現した。
~ダンジョン・低層~
ダンジョン扉・出入口付近
エルート『なんだ。そんなに変わらないじゃん。』
リール『こっから命がけよ。油断しないで。ダンジョンは毎日変化してる。気がついたら中層にいてジ・エンドなんて話もあるのよ。だから少し変化でも見逃したらダメ。』
リールはいつになく真剣だった。
エルート『じゃあ無理じゃん!帰ろうぜ!』
リール『そんなあなたにもとっておきの方法があるの!それは・・・ここからほとんど動かないでモンスターが来るのを出待ちする作戦!!』
エルート(こんな出入口の近くにモンスターなんて来るのか・・・?)
モンスターは数時間してからやっときた。
リール『来たわね!さ!倒すわよ!』
エルート『倒していいのかよ!同種族!』
リール『いいえ!プラチナスライムじゃないから同族じゃないわ!安心して!』
エルート『わかった!』
そう言うと、エルートは木の棒を思いっきりスライムにぶつけた!
エルート『っしゃ!!!ヒット!』
ヒットしたはいいが、全く効いていない様子・・・。
スライムは体当たりしてきた!
エルートのお腹ヒット!
エルート『グハ!!!』
エルート(マジで腹を殴られたような衝撃かよ!)
怯むエルート。
リール『なにしてんのよ!!スライムは核を狙うの!』
エルート(早く言えよ!!!白鬼!)
エルートはスライムの核を狙って切り込んだ!
しかしスライムもそれはお見通し、核を自在に移動させる。
エルート(当たんねぇーーーー!!!イライラする!!!)
ブンブン
リール(やっぱり0レベルのエルートには荷が重かったわね・・・)
スライムの身体はグニグニしており、ヒットしてもそこで衝撃を吸収され核に届かない。
スライムさらに追撃!木の棒を折られる!
リール(やばい!武器を壊された!さすがに素手は無理よ!逃げるしかないか・・・。)
逃げようとエルートに言いだそうとした時
エルートは木の棒を2本持って二刀流になっていた。
エルート『木の棒なんて持てるだけ持ってきてるわ!!!!』
そう言うと、二本の木の棒でスライムを動けなくしてスライムの核を固定した!
そこからエルートは思いっ切り核を踏みつけた!!!
核を破壊されたスライムは土に還っていった。
エルート『よっしゃーーーー!!!スライム撃破!』
リール(コイツ、案外考えて戦っているわね。こんな戦い方する奴見たことない・・・。ま・大体剣で切りつければ倒せるんだけどね・・・そのことは黙っておこう・・・。)
エルートが喜んでいると、貴族冒険者が帰ってきた。
貴族冒険者『おい。誰の許可を得てこのダンジョンに入っている。虫けら。』
召使い『出入口にいると邪魔です!早く立ち去りなさい!!!忌み子!』
用心棒(コイツ・・・あの時の・・・。)
エルート『すみません・・・・。』
リール(出たわね!クズ貴族!!)
エルートは洞窟の隅に行って、道を開けた。
貴族冒険者『首を垂れよ!!』
召使い『早くしなさい!!!』
エルート(今日はやけにイラついてんな・・・。)
エルートは渋々土下座をした。
そのとき貴族はエルートの指輪に気がつく。
貴族冒険者『おいお前・・・それはなんだ。』
エルート『指輪でございます・・・。』
貴族冒険者『見ればわかる!どこで拾った!』
エルート『樹海で拾いました・・・。』
貴族はエルートのつけている2つの指輪を目利きした。
貴族冒険者(フムフム・・・1つは安物の指輪だな・・。もう1つは・・・・なに!!??)
貴族冒険者は表情が卑しい顔つきに変わった。
リール(まずいわね・・・。銭ゲバ貴族め!)
貴族冒険者『お前その白金の指輪どこで拾った・・・?最近私の友人に指輪をなくした人間がいる・・・。お前が犯人か!その指輪をよこせ!』
エルート『いやこれは元々私のものです・・・。』
貴族冒険者『噓をつけ!!!!』
そう言うと、貴族冒険者はエルートの頭を蹴り飛ばした。うずくまるエルート。
貴族冒険者『なんだ~~~その反抗的な目、握り拳なんて握って~~~お前は普通にやっても私には勝てないのだぞ~~~』
そのまま貴族はエルートをけりまくった。
貴族冒険者『おら!おら!早くその指輪を渡せ!!!!』
エルート『いやだ・・・・絶対に渡さない・・・。』
リール(エルート・・・)
その暴行が10分以上続いた。貴族も息遣いが荒くなり疲労していた。
貴族冒険者『コイツ!貴族に対してなんたる無礼!おい!コイツをやれ!!!』
エルートはすでに顔はボコボコ、あざだらけだった。
エルート『ヒュー―、ヒューーー』
それでもエルートは鋭い眼光と握った拳は変わっていなかった。それがさらに貴族をイラつかせた。
用心棒が大きな大剣を抜く、静かなダンジョンに剣を抜く音が響いた。
用心棒は迷っていた、こんな弱者に向けて剣を使うことを。
貴族冒険者『おい!!早くやれ!金が必要なんだろ!!』
召使い『早くやってしまいなさい!』
用心棒は剣を振り下ろした。




