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信念

前回のあらすじ


激しさを増すリールの修行。

見かねたエルフ、ロシーアが異変を察知して接触する。

ロシーアはエルートから、今の状況を聞き出す。

ロシーアはリールと接触することを考えていた。



~ダンジョン入り口・掃除部屋~


今夜は月明かりがなく曇りの夜空だった。


ランニングが終わってヘトヘトになって掃除部屋のドア開けるエルート。

リール『今日は早かったわね。何かあった?』

リールは素早くエルートの指輪に気がつく。

リール『その指輪・・・どうしたの?』

エルート(だからつけたくなかったんだよなぁ~指輪・・・。ロシーアにもまだリールに言うなって言われているし。って外して隠しとけば良かったじゃん。俺のバカ~!!)

エルート『拾った・・・。中々綺麗だろ!』

エルートの汗は一気に冷や汗に変わっていた。

リール『ふ~~~ん。あんたが指輪を拾ってはめるとはねぇ~~。怪しい・・・。』

リールはジッとエルートを見る。

エルート『あ!体中が痛い!もう寝るわ!』

そそくさと藁の布団に潜り込むエルート。

リール(ま、今は修行の方が大事だからいいわ。明日もビシバシ行くわよ~~~!)

リールはどす黒いオーラを漲らしていた・・。

エルート(明日も無事に生きられますように・・・)


次の日~ダンジョン復活まであと2日~


ダンジョン入り口~広場~


昼頃


リール『さあ!今日も張り切って行くわよ~~~!』

エルート『・・・・・・今日もリールは俺に棒を投げるのか・・・?』

リール『投げるわ。』

エルート『今日はランニングなしとか・・・休みとかないのか・・・?』

リール『ないわ。』

エルート『だったら・・・』

リール『ずべこべ言ってないで早くやるわよ!!!今日はやけにしつこいわね~~~。』

エルートは思惑があった。時間を稼いでロシーアを登場させて修行のことはあやふやにしようというセコイ思惑が。

エルート『ちょっと準備体操するわ!1分~2分で終わるからさ!』

リール『まぁいいけど・・・。』

白々しく準備体操をするエルート。

エルート(よっしゃーー!!!ここでロシーアに連絡しまくる!)

エルート【ロシーア様!ロシーア様!ロシーア様様!ロシーア様!ロシーア様!ロシーア様!ロシーア様!】

異常に名前を呼び続けるが・・・・応答なし・・・。

エルート(なんで応答ないんだーーーー!!!!)

リール『ホラ、もういいでしょ。あんたも木の棒持ちなさい。』

エルート『お・・・おう。』

リール『行くわよ~~~!』

エルート【あのツンデレストーカーエルフ!!!なんで今日に限っていないんだよ!!!!】

リールが振りかぶったその時!

ロシーア【・・・ほう。お前はそんなこと思っていたのだな・・・ストーカーだけは理解したぞ。禁忌の子。】

エルート【キターーーー!!!】

エルート『リール待った!!!!』

リール『何よ・・・まだなんか言う訳?』

エルート『リール実は俺には師匠がいるんだ!!この指輪もお師匠から授かったのだ!』

リール『なんですって!?あんたにそんな知り合いいるわけ・・・・』

エルート『今もこの修行を見ていらっしゃる。今お呼びする。』

エルート【ロシーアこっちに来てくれ!頼む!!さっきのはまた疲労でおかしくなっただけだ!】

ロシーア【・・・まぁいいか・・。今のところは・・・。私もあの娘と話がしたい。】


突風が吹くとリールの目の前に、ロシーアが立っていた。


ロシーア『リールと言ったか、よろしく頼む。私はエルフ族のロシーアだ。先ほどのからお前を見ていたがお前私に会ったことはないか?』

リールはビックリした様子で

リール『初めまして!エルフ様!いえ!・・・私は面識はありませんが・・・。あと!エルートの師匠ってホントですか!?』

エルートはロシーアにアイコンタクトを送った。

ロシーア『・・・・まぁ。・・・・そうだ・・・。』

エルート(っしゃ!!!なんか流れでロシーアを師匠にしたがこれで地獄から解放される!)

エルートは三文芝居をして、残念そうに言った。

エルート『そうなんだ・・・だから修行はロシーア様に任せることになったんだ・・・すまん・・・リール・・・』

リール『そうですか・・・。でも!ロシーア様なら私以上の修行を見てくれますので安心しました!』

エルート(へっへーーーん。ロシーアなら口でなんとか誤魔化せる!)

ロシーア『・・・リール。お前はなぜコイツと契約した?コイツは禁忌の子だ。危険なんだ。契約も今なら破棄できる。』

リール『知ってます!!でも私には強い見方がどうしても必要なんです!どうしても!!』

ロシーア『訳ありか・・・。悪事ではないのはお前と話してわかった。話したくない面倒ごとか?』

リール『・・・私は王都から逃げ出したの。見つかったら終わりなの・・・・。今話せるのはここまでです。ロシーア様・・・今は見逃してください!』

エルート(お尋ね者だったのか。)

ロシーア『私が手助けしたら、私に多少の面倒事が降りかかるということか。私も面倒ごとは嫌いだが・・・』

ロシーアはいきなり本気の戦闘態勢に入って短剣をリールの頭から切りかかった!!!

エルート『リール!!!!逃げろ!!!』

ロシーア『リール!!お前に信念はあるか!!!!!!』

リール泣きそうになりながら、はっきりした口調で答える。

リール『・・あります!!!』

短剣は寸止めされていたが、リールの前髪は短剣によって少し切られていた。リールは足が震えているがなんとか立てていた。

ロシーアは短剣を納め、話し出した。

ロシーア『・・・わかった。見逃そう。その代わり責任を持て。』

ロシーアは以前森でエルートが手にした毒薬をリールに渡した。

リール『ひっく・・・これは?』

ロシーア『即死の薬だ。奴が暴走したときこれを飲ませろ。それがお前の責務だ。』

リール(暴走ってあの時の・・・)

ロシーア『それで、私は何も聞かなかったことにしよう。』

リール『ロシーア様!ひっく…ありがとうございます!』

リールは大きく頭を下げた。声も震えていた。

エルートはロシーアの出した殺気に震えていた・・・・。

エルート(・・・マジでビビった・・・ロシーアは本気出すとあんな怖いのか・・・・)

ロシーア『これで私の用は済んだ。帰らせてもらう。』

リールは慌てて言った。

リール『ひっく・・・修行はどうなされますか?・・ひっく・』

ロシーア『お前の修行は筋が通ってる。私の代理も務まるだろう。』

リール『ありがとうございます!ひっく・・・』

エルート(ロシーア何言ってんだ!?これじゃあ話が違うじゃないか!!)

ロシーア『では失礼する。』

突風が吹きロシーアの姿はなくなっていた。

ロシーア【さっきのお返しだ。励めよ。禁忌の子。】

エルート(あのツンデレストーカーエルフ~~~!!!!)ちゃんとロシーアに伝わらないようにしている

リール『さ!!!エルフ様のお墨付きももらったし、修行再開!!!』

リールは木の棒を持って、振りかぶっていた・・・。

エルート『お前さっきの涙は・・・ぎゃあああああああああ!!!!』


~樹海・ロシーア移動中~


ロシーア(とりあえず私より身近に監視する人間が居て帰って助かった。王都ってことは騎士の娘か貴族の娘・・・あの娘幼いが私の殺気で気絶しないとは・・・いくつかの死線は超えてきてるということか・・。・・なぜ私はあの娘に親近感を感じたのだ?・・・)


そして2日が経ち・・・ダンジョン扉が修理された。


ダンジョン復活の日である!!


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