本契約
前回のあらすじ
男はモンスターを退け、モンスターが持っていた鳥かごを壊そうとする。
中には会話のできる光る物体がいた。
鳥かごに魔力を吸われた男は気を失う。
光る物体の正体はプラチナスライム化できる少女だった。
少女の名はリール。
リールは男にエルートという名をつけた。
リールは契約をエルートに持ち掛けるが、エルートは疲労とケガで寝落ちしてしまう・・・。
~ダンジョン入り口・掃除部屋~
早朝
エルートは寝落ちしてしまったので、リールはモンスター化してからゴミ箱近くの隅で隠れるように寝ていた。
ドンドンドン!!!!
手荒くドアがノックされる。
???『おい!誰かいないか!?』
リールはいち早く目を覚まし、見つからないようにさらに隠れた。エルートはまだ寝ている・・・。
役人『私は王都の役人だ!ダンジョンの扉が破壊されている!何か知らんか!』
エルートはまだ寝ている・・・。
リール『エルート!!起きなさい!!!(小声)』
役人『王都の役人に居留守とは無礼だな。このボロ扉こじ開けてやる!』
ボコ!!
役人が強くドアを引っ張るとドアは簡単に外れた。
リール(ああぁドアが・・・まぁいいけど。)
役人『壊すまでもないとは。オンボロ部屋め。』
役人は薄暗い掃除部屋を見渡すと、藁に埋もれたエルートを見つける。
役人(コイツが新しい忌み子・・・。汚らわしい・・・。そしてなんと汚い部屋・・・。)
エルートここで目が覚める。
エルート『はい!すみません!!今から向かいます!すみません!!!』
エルートは寝ぼけて、前世の記憶の癖が出てしまっていた。
役人はいきなりのエルートの行動に驚き、尻餅をついていた。。
役人『ぶぶぶ無礼者!!!お前みたいな忌み子が何をしている!!!』
リール(ヤバい!!怒らすと面倒なことになる!)
エルートは寝ぼけているにも関わらず、即座に(コイツめんどくさい奴だ!)と判断し、すぐに頭を下げ土下座して謝った。
エルート『すみません!!偉いお方の前で・・・私目は教育を受けていないのでお許しくだせぇ!!』
役人はすぐに仁王立ちになり、偉いお方と言われたのに気を良くした。
役人『フン、忌み子・・奴隷の才能があるんじゃないか?まぁ奴隷の価値もないがな。ハッハッハ。』
エルートは土下座したまま
エルート『この度はどんなご用件でしょうか?』
役人『む・・そうだ。お前昨日の夜にここで何かなかったか???』
エルート『なんもねぇですだ。夜中に大きな音がしたけんども、怖くて部屋にこもってただ。』
役人(なんだコイツの喋り方は・・・)
役人『まぁどちらにせよ、お前がどうにか出来ることではないか。たかが忌み子に。』
エルート『そうですだ~見逃してけれ~~~』
役人(そういえばこいつ。起き上がったときに包帯のようなものが見えたな)
役人『お前・・・立ってみろ。』
リール(ヤバい!!傷跡や治療したのがばれる!!)
エルート『何を言ってるんだ~お偉い様~私の身体なんか見ても目の毒ですだ~~』
役人『立ってみろと言っているんだ!!!』
そう言って役人は、エルートに近づこうとしたとき・・・
役人b『お~~~い!こっちにでかいモンスターの腕があるぞ~~~』
役人(モンスターの腕だと!?ではここまでモンスターが来たということになる。コイツは狙われなかったのか?だかモンスター同士の戦闘ならコイツは無視されてもおかしくはない・・・か。モンスターの餌にもならないとは・・本当に奴隷以下だな。)
役人(じゃあ包帯はどうだ・・・忌み子は物を恵んで貰って包帯をつけていることは珍しくないか・・・考えすぎだな。コイツはただの忌み子なんだ。)
役人『今行く。こんな臭い所はもう勘弁だ。』
捨て台詞を言うと、役人は掃除部屋を出ていった。
役人が遠くに行ってしまうと、2人は緊張から解放された。
エルート・リール『助かったぁ~~~』
リール『あんたよくごまかしたわね。』
エルート『いや全部、反射的にやったことですだ。』
リール『その話し方やめなさい。』(それにしてもなんて回復力、昨日はほとんど動けなかったのに・・・)
エルートの身体はまだ包帯から血が少し滲んでいたが、出血も止まって7割程回復していた。
軽く談笑したのち、エルートは外に出て周りを見てみる。
そこには洞窟の入り口は閉鎖され、多くの冒険者が集まっていた。そして昨日の戦闘の跡、血痕などが綺麗になくなっていた。
『なんだよ~~これじゃ稼げないじゃん』
『こんな朝からきたのに、、帰るの面倒くさ~~~』
『今までこんなことあったか??』
『今月どうやって生き延びよう・・・』
ざわざわと色んなことを言っていたが、本当に入れないと気がつくとみなそそくさと帰っていった。
~掃除部屋~
昼頃になると役人もいなくなっていた。その間エルートはドアの修理に精をだしていた。
(結局ドアを立てかけるだけで、修理できなかった)
エルート『いや~~~働いた!』
リール『何もしていないでしょ。』
エルート『そう言えば、昨日のダンジョン入り口広場が綺麗になってた。役人がやったのかな?』
リール『あんたが気絶しているうちに、あたしがやったの。』
エルート『え!!!なんで!?』
リール『あのままだったら確実に怪しまれるし、腕だってそこそこ見つかりにくい所に隠しておいたのよ。』
エルート『ええええすごいわぁ~~~』
リールは少し顔を隠して、照れ隠しするように強引に話を始めた。
リール『そんなことはどうでもいいの///あんた昨日の話覚えてる?』
エルート『貴族がヤバい話??』
リール『違う!契約の話!!』
エルート『ああああそっちね。覚えてる。』
リール『じゃあ正式な契約交渉を始めます。』
そう言うとリールは白く輝くオーラみたいなもの、そのオーラから薄く絹のような布のような紙のようなものを出てきた。
リール『これがオーラと契約書ね。』
エルート『何が書いてあるか読めん・・・』
リール『これは私があなたに経験値保証契約を交すことと、その代わりあなたは私を命をかけて守ることが書いているの。』
エルート『ふ~~~ん。え!?俺命をかけてリールを守るの!?』
リール『なんなの!?不満があるの!?』
エルート『いや~~ないわけではないけど・・その姿だとな・・・』
リール『しょうがないでしょ!契約の儀はモンスターの姿じゃないと出来ないんだから!』
エルート『でもな~~~』
リール『わかったわよ!人間に戻ればいいんでしょ!!』
そう言うと、リールは人間の姿になった。
エルート『是非契約させてください!!!』
リール(このくそガキ!!!)
リール『わかったらその紙に名前を書いて。触れて書くだけでいいから。(イライラ』
エルート『はーーい♪・・・・・書いた!』
リール『じゃあ飲み込んで。』
エルート『え!?これ飲み込んでいいの?というか飲み込めるの?』
リール『このオーラと紙は私は触れることは出来ないわ。あなたの意志で飲むの。』
エルート『・・・わかった・・。』
そう言うと、エルートはまずオーラを手にとってみた。
エルート(ほのかに暖かい。・・口に入るのかコレ??)
思い切って口にいれると、口に入れた瞬間オーラは霧散して全身に巡っていった。
エルート『あとは契約書か』
契約書も口に入れたら、なくなると思っていたエルートは後悔することになる。
エルート『もご!?』
エルート『なんだこれ口に入れても全然消えない、例えるなら・・・・海苔だ!!味のないサラサラした食感の海苔!全然噛み切れないぞ!!!』
エルートはなんとか飲み込むと、身体が光り始めた。
エルート『え・・・なんか光ってるんだけど・・・』
リール『大丈夫、数分で消えるから。今契約中ってだけよ。』
エルート(そんなものなのか・・・)
リール『これであなたは私の契約者!エルートよろしくね!』
エルート『おう!任せとけ!』(なんかとんでもない契約をしたのかもしれない・・・)
エルート(でもこの世界では契約社員だからランクあがっているのかな・・・)
エルートはことの重大さを理解せず、くだらない事を考えていた・・・。




