ダンジョンお掃除
前回のあらすじ
何とか気力を振り絞り、食料を探しに樹海にいった男。
しかし、エルフに命を狙われる。
そして忌み子ではなく、禁忌の子という事実を伝えられる。
男はなんとかエルフを出し抜く。
男は生きるのに必死だった・・・。
~ダンジョン入り口~
男『は~~~今日もいい天気だぁ~~』
男がこここの世界に来てから2週間くらい経っていた。
樹海でエルフに命を狙われてから、2~3日に一度に食料が掃除部屋のドア付近に置かれていることで、何とか生きながらえることができていた。
男『それにしても誰が置いてくれているんだろうか・・・。お礼を言いたいけど。』
男は食料に困らなくなったので、忌み子としてのダンジョン入り口の掃除をすることを考えていた。
男(いちよう忌み子がやらないといけないらしいし。俺禁忌の子らしいけど・・。)
男(面倒だけどやることないし、掃除しますか・・・・。)
男はしぶしぶ掃除道具を持って、この馬鹿広いダンジョンの掃除を始めた。
男(こうゆうのは奥から掃除するのがいいんだよね~~~♪)
ダンジョン入り口は広く奥に入ると、どんどん道幅は狭くなってくる。簡単に言うとチョココロネみたいな構造。そして奥まで行くと高さ3m幅3mくらい白い扉がある。そこがダンジョンの扉だ。
男(この扉を掃除すればいいのか・・・???)
男が扉に触れようとした瞬間
???『オイ!!!汚い手でそれに触れるな!!』
男ビクっと身体を震わせ、扉からすぐに離れた。
男(なんだこいつ。冒険者なのか・・・。それにしては煌びやかな服装だ・・・貴族なのか?)
貴族『お前のような忌み子がこの扉に触るんじゃない!お前の仕事はこの洞窟の隅に落ちている使い終わったアイテムやゴミを回収することだ!』
召使い『貴族様それ以上は忌み子との会話はよしてください。あなた様の品位が汚れます。』
貴族『おおーーそうだったな。私の品位が落ちては敵わん。忌み子はさっさと去れ』
そう言って2人は、ダンジョンの扉を開けて入っていった。
少し遅れて、黒服が来て、男に一言言った。
黒服『・・・・・・すまん。』
黒服も扉に入っていった。
男はあっけにとられていた。
男『なんだったんだ。あのくそ貴族!もともと品位なんてないだろ!』
ダンジョン扉の掃除は諦め、男は洞窟の隅にある使い終わったアイテム・ゴミを回収することにした。
~数時間後~
日も落ち始めた時間
男『フーーーー大分片付いたなあ~~掃除中に色んな冒険者からひそひそ言われたけど・・・』
男『しっかしこの時間帯は、冒険者がよく通る。まあ帰りのラッシュ時間ってことか』
エルフ【違う】
男はビックリした周りを見たが、近くにエルフはいなかった。よーく目を凝らしてみるとあの冒険者一行が樹海に向かって談笑しながら帰路についていた。エルフもいた。
男(あのときの、音以外の会話か!)
エルフ【夜になると、モンスターが狂暴化・レベルも上がるから暗くなる前にみな王国に帰るだけだ。】
男(お前は俺を殺さないのか!?)
エルフ【お前の意志は私には伝わらない・・・この会話は一方的に伝えることしかできない】
エルフ【しかしお前の思考は読める。なぜ殺さないのか。ってことだろ。理由は簡単殺す気が失せただけだ。お前は放っておいても死ぬだろうしな。】
エルフ【最後にお前に忠告しておいてやる。死ぬな。いや・・・正確には死にそうになるな】
エルフの声はここで途切れた。
男(なんなんだよ。殺そうとしたり、死ぬなっていったり・・・)
男はエルフの言っていたことが、理解できなかった。
~樹海帰路~
冒険者一行
戦士『いや~~今日はまあまあだったな~』
僧侶『そうでしたね~』
魔法使い『お前が遅刻したから、全然捗らなかっただけだろ!』
戦士『まぁ~そう言うなって~~~奢るかさ!』
魔法使い『フン。当たり前だっつーの』
僧侶『どうしましたか?エルフさん。上の空ですけど・・・』
エルフ『いや・・・・なんでもない。』
魔法使い(エルフがあの会話してたな。誰に意志を送っていたんだろう・・・。まさか・・・ね。)
~ダンジョン入り口~
夜
男『っしゃーーーーー掃除終わり!!!このゴミどうすんのかな?ま・・・いっか!』
男(あ!雑巾をダンジョン扉に忘れてきた!あのゴミ貴族に罵倒された時か!取りに行くのめんどくせー)
男はしぶしぶダンジョン扉に向かって歩いた。
男(掃除しなくても、もともと薄暗いから綺麗になったかもわかんねーな。)
男は肩を落としてトボトボ歩いていると、扉が見えてきた。
扉は薄っすら白く光っていた。
男(この扉光るのかスゲーな。異世界っぽい。おっとそんなことより雑巾、雑巾)
男『お!あったあった!』
雑巾を取って、帰ろうとした瞬間
ドゴーーーーーンと轟音が響いた。
男
男が振り向く間もなく、衝撃によって吹っ飛ばされた。
男は吹っ飛ばされたものの、異常な殺気を感じ気絶は免れた。
煙と砂ぼこりの中から出てきたのは、4m~5mの獣のようなモンスター。
男(なんだよぉ~コイツ・・・・あれはなんだ?)
そのモンスターの手には、鳥かごのような物の中に光る物体が見えた。
光る物体『お願い!逃げて!!』
男(なんだ喋ったぞ!あれは一体なんなんだ!?逃げてって言われなくても・・・)
男は頭では冷静だったが、身体は震え動くこともできなかった。
殺気を感じ取れてしまうことが、今回は男にとって不利に働いてしまった。
男(動けない逃げれない、身体の震えが止まらない・・・)
モンスターは男の数センチ前に立ちはだかり、その剛腕で思い切り男を殴り飛ばした。
男は数百メートル吹っ飛ばされ、ダンジョンの外まで吹っ飛ばされた。
男『ゴフッ』
とっさに男はガードしたが両腕は粉砕骨折、あばら骨も折れてが内臓に刺さってしまっていた。
男は吐血し、呼吸困難に陥っていた。
男『やば・・・い死・・ぬ・・・』
モンスターが詰め寄り、男のはらわたにかぶりつき、男は微かな意識と腹あたりに感じる痛みを感じていた。
男(食われているのか・・・いてー・・・)
光る物体『いやああああああああ!!!!』
モンスターが満足すると、ダンジョンに向かってのそのそと歩み始めた。
男は薄れゆく意識の中、エルフの言っていた事を思い出していた。
【死にそうになるな】
男(なんだよ。エルフ・・・なにも起こらないじゃん・・・。)
男の意識はここで途切れてしまう。
洞窟入り口に来た辺りにモンスターは悪寒を感じて後ろを振り向いた。
そこには先ほどの血みどろになって、小腹を満たしてくれた男が立っていた。
モンスターは困惑した・・・。さっき食ったはずなのに・・・まだ食わしてくれるのか!?とそんな感じのことを考えていた。即座に戦闘態勢に入って獲物のおかわりをするつもりになっていた。
光る物体(よく見えなかったけど、月明かりで見えた!)
光る物体(!?!?)
光る物体は自分が見た男の姿に対して後悔した。悪寒が体中に走った。
その見た目とは、急速に再生していく途中の身体・闇夜に光る眼光・体中に浮き出る血管。
確認できたのはここまでだった。
光る物体(この子はホントに人間なの・・・?)
モンスターは自分に対して強化魔法をありったけかけて、男だった者を殲滅にしようとしていた。
光る物体(このモンスター魔法まで使えるの!?ありえないこんな高等魔法・・・このモンスターは何者なの!?)
月明かりに照らされたダンジョン入り口の広場で、モンスターと男だった者の一騎打ちが始まろうとしていた・・・。




