緊急クエスト4
~前回のあらすじ~
ダンジョンも突入したエルートとリール。モンスターに大穴に引きずり込まれ辿り着いたのは、中層と深層の平原だった。
指定モンスターのゴーレムを倒したのも束の間、寄生モンスターに追われる。
エルートが衝撃波で吹っ飛ばすが、1体だけ衝撃波でビクともしないモンスターが現れる。
それは今回の討伐モンスターであり、リールの父親であった。
~ダンジョン中層・平原~
肉塊モンスターとエルートの衝突で辺りに、衝撃音が炸裂する。
肉塊モンスターはエルートの衝撃波によって、巨大化させていた腕が半分だけ吹っ飛んでいた。
エルート『・・・何とか間に合ったか・・。あれに触れたら勝ち目ねーからな。』
しかし、肉塊モンスターはすぐに片腕を復活させた。
エルート『なんだよ。もう復活かよ!』
リール『・・・・・・・・』
時間差でもう片方の腕が復活した。
エルート(・・・なぜ時間差で腕が復活した?再生が遅かったのは左腕・・・・)
肉塊モンスターは腕の形状を変えて、エルートを捕えようとしてくる!
エルート『今ならもっと楽に捌けるぜ!・・・あれ??』
リール『何してんのエルート!来るわよ!!!!避けて!!』
何と地中から肉塊の触手がエルートの足を捕らえていた!
エルート『・・・リール・・お前は逃げろ!!!!』
リール『何言ってんのよ!ちょっと!?』
エルートはピアスを取って、肉塊モンスターに向かって投げた!
ブン!!!
リール『あんた!何してくれてんのよォーーーー!!』
しかし肉塊モンスターは捕らえたエルートのことに夢中で全く気がついていなかった。
ピアスに擬態したリールは、肉塊モンスターの頭を越えて数十メートル後方に落ちた。
エルート『リール聞こえるか!!とりあえずそこで待ってろ!』
リール『わかったわ!』(エルートこっからどうするつもり?)
グチュグチュ
肉塊モンスターはエルートを自分の肉で覆って、肉の塊にしてしまった。
リール『エルートォーーー!!!!』
エルート『・・・・・・・』
エルートを肉塊にして自分の身体に取り込もうと、ズルズルと引きずる肉塊モンスター。
エルート(手足は使えねーし。もうすぐ本体に取り込まれる・・うーーーーーーん・・・・)
リール(エルートは何か狙いがあるはず!早くしないと本体に取り込まれるわよ!)
ズルズル・・・・ズルズル
エルートの肉塊が本体と数メートルになっていた。
エルート(う~~~~~ん・・・手足を使わずに動かせるもの・・・う~~~~~ん・・・・)
リール(もしかして・・・ホントにあたしを逃がすために身代わりになったの?)
グチュグチュ・・・ズルズル・・・ズズズズズ・・・・ドクン!
エルートは本体に取り込まれてしまった。
リール『・・・ウソ・・・エルート・・・』
その頃エルートは・・・・。
エルート『熱い!痛い!・・・そろそろマジでヤバい!このバケモんが!!!』
ドン!
エルートが吐いた捨て台詞が肉塊に衝撃を生んだ。
肉塊モンスターが一瞬衝撃によって震える。
エルート『そうか!口があったな!よし!』
エルートは首を上に向けて思い切り叫んだ!
エルート『ワァ!!!!!!!!』
肉塊モンスターはいきなり震えだし、頭の部分がどんどん膨らみ・・・・爆発した!モンスターが付けていた首飾りも一緒に。
ド―――ン!!!
リール『エルート!!!』
肉塊モンスターの上半身が吹き飛んだが、エルートは首から下はまだ肉塊に拘束されていた。
リール『エルート!無事だったのね!』
エルート『リール!吹っ飛んでいった首飾りを壊せ!!!』
リール『・・・でも・・・あれは・・・』
エルート『早く!!!』
リール『わかったわよ!』
リールは人間化して、首飾りを探す。
リール『ったく!どこにいったのよ!!』
辺りを探すリール。しかし肉塊の触手がリールを捕まえようと追ってきていた。
リール『いやぁーーー!!!!!』
エルート(・・・・リール・・・後は頼んだ・・・。)
肉塊はほぼ再生して、エルートは鼻から口まで肉塊に侵入され意識を失っていた。
リール『エルート!!!!キャ!』
ドスン!
肉塊に足を掴まれ転ぶリール。しかしその先に首飾りが落ちていた。
リール『あった!!ごめんね!パパ!』
リールは転んだ状態で、すぐに首飾りを石で叩き割ろうとした。その瞬間!
肉塊『待て!!!リール!!!』
首飾りを壊す寸前で腕が止まった。
リール『・・・・パパ?』
リールが振り返ると肉塊モンスターは少しいびつだが、リールの父親の姿になっていた。
リールの姿と、首飾りを思う気持ちが一時的に本来の姿になる要因になった。
エルートも傍らに気を失って倒れていた。
リール『・・・パパァ!!!!』
リールと父親は駆け寄り、抱擁した。
リール『・・・どこ行ってたのよ!!パパ!!』
ダットス『すまないリール。パパは王都のモンスター実験台になり、私はダンジョンに逃亡したんだ・・・。そこからは覚えていない・・。』
リール『だって完成したものを私にくれたでしょ!なんでパパが!』
ダットス『・・・私が完成品のデータを全て処分した。王都はあれを使って戦争を起こす気だ。その罰として私が研究材料になった・・・。』
リール『・・・そんな・・。』
ダットス『ママとレラはどうした?』
リール『ママは役人にに連れていかれたわ。レラは貴族の養子になった。でも2人は私が取り戻すわ!』
ダットス『・・・そうか。リール苦労をかけた。本当にすまない。』
リールはもう涙が止まらなくなっていた。モンスターの姿だったから我慢できていたが、父の姿になった事により、感情の抑えが効かなくなっていた。
リール『エェーーーーン!パパァーーー。』
ダットスはグッとリールを突き放した。
リール『・・・パパ?』
ダットス『・・・もう時間がない・・・リールお前に最後の頼みがある。』
リール『ウエェ――ン!最後なんて言わないでよぉー!』
ダットス『しっかりしなさい!!リール!!!ママとレラを取り戻すためだ!』
リールはワンワン泣いていたが、グッとこらえた。
リール『・・ヒック・・・頼みって何?』
ダットス『・・・私を・・・』
ダットス『・・・殺してくれ。』
リールの瞳から光が消え絶望がリールの身体全体を覆っていた。




