緊急クエスト2
~前回のあらすじ~
エルートがギルドに登録した矢先に緊急クエストが発注されていた。それは人型モンスターの討伐クエストだった。
リールが無理やり受注し、疑問に思ったエルートは理由を聞く。
リールはレラという妹がいて、現在は貴族の養子となっている。3年経つと奴隷商に売り出すことができるのでリールはこのクエストをクリアして、貴族からレラを取り戻すつもりだった。
~ダンジョン・入り口~
まだ日も出ていない未明にエルートとリールはダンジョン扉に立っていた。
リール『さあ、行くわよ。』
エルート『おう!』
扉を開けると、以前見た洞窟が広がっていた。ちなみにリールはピアスに擬態して、エルートの耳にくっついていた。
エルートが洞窟をグングン歩くと、見えてきたのは大きな落とし穴だった。
エルート『なんだこれ。でかい穴だ。』
リール『それはこのダンジョンのトラップよ。冒険者を下の層に落とすのが目的よ。落ちたら多分アウト。』
エルート『なんか気味悪いな・・・。』
ここで穴から1~2mのトカゲが出てきた。
エルート『うお!?』
リール『まだ低層なんだからこんなのにビビッていられないわよ。』
エルート『わかってるよ!』
エルートはトカゲに向かって拳を突き出し、衝撃波をトカゲにぶつけて、穴に落とした。
トカゲ『・・・グエ!』
リール『あんたのそれ、ホント便利ね。』
エルート『まぁ、ザコならこれでいけるとおもうけど・・・。』
エルート(強敵がきてはじかれたりしたら、どうしよう・・・。)
エルートが先に向かおうとすると、穴から何かもぞもぞと音が聞こえる。
ズリ、ズリ、ズリ。
エルート『ま~~たトカゲかぁ?』
エルートが振り向くと、そこには穴から人間の手の形をした肉塊が現れた!
エルート・リール『ぎゃあーーーーーー!!!!!!』
エルートはダッシュで走り出す。
エルート『おい!なんだよ、あれ!』
リール『あんなの見たことも聞いたこともないわよ!』
エルート『つっかえねーーーな!!!』
リール『なんか攻撃でもなんでもしなさいよ!』
エルート『くらえバケモノ!!!』
バン!!バン!!
エルートは走りながら、手に向かって拳を数回突き出した。手には衝撃波が伝わり穴が空いた。
バチュ!バチュ!
肉塊がはじけ飛ぶ音が聞こえる。
エルート『なんだ!コイツ弱いかもしれないぞ!』
リール『油断しない!』
エルートがもう一度確認すると肉塊は再生していた・・・。
エルート『ぎゃあああああ!!再生してるぅ!!!』
驚いたエルートは足を滑らせてこけてしまった。
リール『バカエルート!何してんのよ!』
エルート『・・・イテテ』
ハっと気がつくと、肉塊に両足をつかまれていた!
エルート『リールやばいぞ!こいつめっちゃ力ある!』
リール『あんたでもほどけないってコイツ中層レベルでもないわよ!』
エルート『うわああああああああ!』
エルートは穴に引きずり込まれてしまった。
~ダンジョン・???~
エルートはレンガの上で目を覚ました。
エルート『イテテ・・・ここは?おい!リール!』
リール『・・・えぇちょっと待って・・・。』
そこは平原だった。空は真っ黒で地面が幾何学模様のように光っている。
エルート『なんかやばいところまで来ちゃったようだな。』
リール『ここは!中層と深層の境目よ!警戒して!』
エルート『マジかよ!ちなみに今座ってるレンガの建物は誰が作ったんだ?』
リール『・・・それ・・・レンガじゃないわ・・・』
エルート『じゃあなんだよ。』
エルートが荷物を乱暴に置く。ドスン!
リール『・・・それはモンスターよ・・・。ちなみに指定モンスター・・・』
エルート『・・・エ〃』
エルートはその場ダッシュで距離を取った。
その瞬間レンガが激しく動き出して、人型のモンスターになった。
ゴーレム『・・・ウォォォォォ!!』
ゴーレムの咆哮に地面が揺れている。
エルート『リールあいつは?』
リール『・・ゴーレム。中層モンスターでトップクラスに強いわ。レベルもあっちが少し上かも・・・。』
エルート『やるしかないようだな。』
ボンボンボンボン!!
ゴーレムが口から石を飛ばしてくる。エルートは何とか避けた。
エルート『割と速いなゴーレムのくせに』
エルートはすぐさま拳を突き出して、衝撃波をゴーレムに飛ばした。
バン!バン!!
しかし、ゴーレムの身体はビクともしていなかった。
エルート『リール・・・全く効いていないぞ・・・』
リール『・・・相性最悪ね。』
そこからゴーレムが口から、石を飛ばしまくってくる。
エルートは何とか避けるが、防戦一方の展開になっていた。
エルート(衝撃波が通じない。どうする!)
エルートはゴーレムに向かって走り出した!
エルート(遠距離戦がダメなら、接近戦だ!!)
エルートは石を避けながら、何とかゴーレムの間合いに入り込む。
しかし、突如足が重くなる。
エルート『なに!』
そこには小さなゴーレムがエルートの両足にくっついていた。
エルート(コイツ最初から狙ってやがった!!)
ゴーレム『ウォォォォォ!!!!!』
ゴーレムの両腕が頭上からエルートに振り下ろされる!
リール『逃げて!エルート!』
エルート『ムリだっ』
ドゴーーーーーン!!!!
エルートは無傷で、ゴーレムの両腕は吹っ飛んでいた。
エルート『・・どうゆうことだ?なんでゴーレムが・・・。』
実はゴーレムの腕がエルートに当たる瞬間、エルートは両腕を止めようと無意識に両腕を突き出した。
それが功を奏し、ゴーレムの腕に触れた瞬間に衝撃波が発生し、内部からゴーレムの腕は弾きとんだ。
エルートはそれに気が付き、足にいる小さいゴーレムをゆっくり触れて衝撃波を出してみた。
バン・バン。
小さいゴーレムは内側から、レンガがずれるように壊れていった。
エルート『そうゆうこと。内側から衝撃波を与えれば壊れるってことか。』
エルートはゴーレムの頭に向かって走り出す。
ゴーレムは口から石を飛ばしてくるが、狙いが定まっていなかった。
エルート『あきらめな!』
エルートはゴーレムの頭に触れて衝撃波を出した。ゴーレムの頭は壊れ、そこから亀裂が入って全身が崩れていった。
リール『やばかったわね。』
エルート『・・・さすがに死ぬかと思った。』
ホッと一息ついていると、中層モンスターが2~3体集まってきていた。
エルート『勘弁してくれ・・・。』
リール『ここはあたしに任せて。』
リールは人間の言葉ではない呪文を唱え、エルートを全身プラチナにした。
リール『これで攻撃は一切受けないから安心して。』
エルート『こんなのあるなら最初からやってくれよ!』
リール『・・・そうもいかないのよ。』
リールは濁す感じで言った。
エルート『どうゆうことだよ・・・あ・・・動けねぇ!!!!!』
リール『・・・そうなの。だからモンスターがいなくなるまで、こうしていましょ!』
エルート『・・なんか素直に喜べない・・・。』
とりあえず指定モンスターを倒し、深層付近まで来たエルートとリール。
果たして討伐モンスターに遭遇することはできるのだろうか。




