最初の依頼
前回のあらすじ
王国から呼び出しが来て、城下町に向かうエルートとリール。
裁判官はエルートを騎士団に入れることが狙いだったが、エルートはモンスターの素材を出して中層モンスターを倒したと証明する。
エルートは市民権を得て城下町までは自由に行動できるようになる。
その帰り道に寄った冒険者ギルドでエルートはある古ぼけた機械に注目する。
~城下町・冒険者ギルド~
夕方になり城下町の飲食店は活気出してきた頃。エルートはスロットマシーンの前に立ち、不思議そうに機械を見ていた。
ガシャン!!ガシャン!!ガシャン!!
スロットマシーン『・・・0・・・5・・・1・・・』
受付嬢・冒険者『・・・51レベルゥ!!??』
そこからエルートに冒険者が集まってきた。
『俺のギルドチームに入れよ!』
『あたしたちのチームに入りなよ~~』
『是非ともうちのチームに!!!今なら金貨1枚あげるよ~~!』
エルートは人だかりに埋もれていく・・・。
リール(エルート!あんたは他の冒険者と接触できないんだから!)
エルート『あ!そうだった。』
そう言うとエルートは接触禁止のことを説明した。
『えぇ~~そうなのぉ~~』
『結局は王都の犬かよ・・・。』
『・・・・・』
ブツブツと言いながら人だかりは消えていった。
エルート『いやぁ~凄かったな・・・。』
リール『だから言ったのに!』
エルート『それにしても、51レベルってすごいのか?』
受付嬢『すごいですよ!中難易度クエストもできるレベルです!』
エルート『・・・へ~~~~俺ってすごいんだぁ~~~』
リール(やっぱりコイツ調子に乗ったわね!)
リール『あんたなんてまだまだよ!深層にいけば瞬殺されるんだから!』
エルートは無性に腹立つ顔になっていた。
エルート『ふ~~~ん♪』
リール(コイツ!!!!)
受付嬢『・・・エルート様、クエストは受注されますか?』
エルート『どんなのがあるの?』
受付嬢『エルート様だと・・・中難易度から可能ですがいかがしますか?』
エルートは色々見ていると、今にも破れそうなクエスト発注書を見つけた。
エルート『これは??』
受付嬢の顔が曇った
受付嬢『・・・あぁそれは・・・村の方が発注したクエストですね・・・。報酬が低く誰もやらないのです・・。一般の人でもできるお手伝いクエストです。』
エルート『・・・・俺これやるわ!』
リール(なんでこんな稼げないクエストやんのよ!)
エルート『・・・スローライフも悪くないと思って。』
リール(・・・バカだコイツ・・。)
エルート『受付嬢さん!それでお願いします!』
受付嬢『・・・承りました。』
エルート『っしゃあ!すぐに行ってきます!』
リール(コイツ何考えてんのかしら・・・)
農村
農村につく頃には周りは暗くなっていた。発注書に書かれた家に向かうエルートとリール。
家に着いてドアを叩くエルート。
トントン
エルート『すみませーーーん。冒険者ギルドから仕事の依頼を受けた者ですがーー。』
そうすると、中から老人が出てきた。
老人はエルートをジッと見るといきなり罵倒してきた。
老人『お前!!忌み子だろ!!お前にやれる仕事などない!!!』
バタン!とドアを閉められた・・・。
エルートは茫然としていた。
エルート『・・・なんなんだ??』
リール『あんた忌み子だからね。ここ通ったときもひそひそ話されていたでしょ。』
エルート『・・・確かに。』
行く当てもない2人はその家で座って時間を潰していた。そうしていると。
村民『おーーーい!!また出たぞ!』
村民2『今日は多いな!』
村民3『鍬でもなんでも持って男は集まれ!!!』
リール『なんか騒がしくなってきたわね。』
エルート『なんだぁ?』
辺りを見回すと、闇から鋭く光る眼光がいくつもあった。
エルート『・・・モンスターか?なんでこんな農村に。』
リール『ダンジョンから出てきたモンスターじゃないわ。あのモンスターは野生のモンスターよ。』
エルート『え!!モンスターってダンジョン以外にもいるの!?』
リール『いるわよ。ただしダンジョンにいるモンスターよりは弱いわ。ダンジョンの魔力を吸収していないからね。』
エルート『・・・村民でなんとかなるのか?』
リール『見た感じ低層モンスター以下だから、敵の数次第ね。ここで助ければさっきのおじさんも認めてくれんじゃない?』
エルート『その手があったか!』
畑の近くにモンスターが集まり、松明や鍬を持って数人が集まってモンスターをおっぱらおうとしていた。
村民『帰れ!!』
村民2『絶対に作物はやらん!!』
村民『・・・今日は数が多くないか・・・?』
エルートが到着する。
村民『なんだ!お前は!帰れ!忌み子!』
村民2『お前なんかお呼びじゃないんだよ!』
村民3『・・・おい・いつもの倍以上いるぞ・・・。』
モンスターは狼のような姿をしていた。
そして30体以上のモンスターが一気にこちらに走り出してきた!
村民『・・・にに・逃げろーーー!!!』
村民達は一斉に逃げ出したが、1人腰が抜けて動けなくなっていた。
村民『・・・あわわ・・わわ』
エルートは飛び出し、30体のモンスターに埋もれてしまった。
村民『・・あわわわ・あれじゃあもう助からない・・・。』
エルートは色々な所を噛みつかれていたが、痛みはなかった。
エルート『なんだこれ、痛くないぞ・・・。』
リール『なに言ってんのよ!!!早く倒しなさいよ!!もしかして!?』
リールはここでスキルが発現していることに気がつく。
リール『あんた!それ多分スキルよ!相手の攻撃を無効化スキルよ!』
エルート『無効化だって!?そんなこと今までに・・・・ハ!!』
リール『そうよ!最初に会った時のモンスターの攻撃に即死しなかったのも、蜘蛛に体液をを吸われた時も発動していたんだわ。しかもレベルが上がってスキルも強力になってる・・・。』
エルート『・・・そうだったのか・・・。』
リール『・・・と言っても永遠にスキルが続くわけないわ!一定以上のダメージや時間で効果は切れる。今のうちに攻撃しなさい!』
エルート『・・・攻撃と言ってもなぁ。棒ないし・・。』
リール『何でもいいからやりなさい!!!』
エルートは渋々、パンチをしてみた。
ドォ――ン!!
エルートの身体から衝撃波が生まれ、身体中に嚙みついていた狼が、吹っ飛ばされた。
村民『なんだ!?狼が吹っ飛んだぞ!』
エルート『・・・なにこれ?これもスキル?』
リール『・・多分・・・そうね・・・衝撃波を生み出すスキルなんて聞いたことないけど・・・。』
腕に嚙みついていた狼5~7匹は絶命していた。
吹っ飛んだ狼がエルートの周りを取り囲む。
そして数体がエルートに飛び掛かった。エルートは狼に向かってパンチを繰り出す。
バン!バン!バン!!バン!!
空気が弾けるような音が響き、狼の身体に拳くらいの大きさの穴が開いていた。
村民『・・・おおおおお』
狼はエルートの強さに怯え、農村から逃げていった。
その瞬間
村民『うおおおおおおお!!!!村が救われたぞ!!』
村民2『あいつめちゃくちゃ強いじゃんか!』
村民3『・・・助かった~~』
エルートの周りに村民が集まってくる。
村民『助かったよ!』
村民2『あれ?どうやったの!?』
色々な質問が飛び交う中、老人が出てきた。
村民『村長!』
村長は先ほどエルートを罵倒した老人だった。
村長はエルートに深く頭を下げ、礼をいった。
村長『村の者を助けてもらい、本当に感謝している。』
エルート『いいんです、いいんです!それより依頼の件は・・・』
村長『依頼はしてもらった。』
エルート『・・・は?依頼はお手伝いじゃ・・?』
村長『それは表向きの仕事、討伐依頼は金がなくて発注できん。あと3日この村の用心棒を頼みまする。1日銅貨2枚で。』
村民たちの希望の眼差しがエルートに向けられる
エルート『・・3日ですか・・はい・・・よろしくお願いします。』
エルート(・・・命かけて銅貨2枚か・・・銅貨って100円くらいの価値なのに・・・・。)
リール『だから受付嬢の人も渋っていたのよ。かっこつけるからよ~。』
エルート(しくったぁ~~~~!!!!)




