夜明け
前回のあらすじ
突如モンスターが広場に出現。
なんとか戦士が中層モンスターを1体倒すが、2体目の毒蜘蛛モンスターを抑えていた者達が逃走。
ダンジョン広場には多数の人間が瀕死で倒れて、戦士もダメージを受け戦える状況ではなかった。
そんな中リールはエルートに経験値を与え大幅なレベルアップをする。
しかし、エルートは簡単に蜘蛛に捕まって体液を吸われ、悲鳴をあげていた・・・。
~ダンジョン入り口・広場~
深夜
エルートは体液を吸われ、蜘蛛に投げ飛ばされた。
ドサ!!
リール(エルート・・・・)
エルートは瀕死のダメージ、もしくは狂暴化もするかもしれないとリールは覚悟した。
むくっと起き上がるエルート。
エルート『あれ???そんなにダメージないぞ・・・・。』
リール(どうして平気なの!?普通だったら絶命してもおかしくないのに・・・。)
蜘蛛を見ると様子がおかしかった。蜘蛛は混乱し、ダメージを食らったような苦しみ方をしていた。
リール(・・蜘蛛が・・悶えてる・・・。)
エルート(なんかよくわからないがチャンスだ!!!)
エルートは木の棒を持って、蜘蛛の下に滑り込み下から突き上げた!!
ボキ!!
木の棒が折れる・・・。中層モンスターの外皮は相当硬かった。
エルート(こんな棒で倒せるわけないか・・・じゃあどうする・・・。)
戦士『おい!!俺の剣を使え!!忌み子!!』
エルート(戦士の剣・・・・あそこだ!!!)
すかさず剣を取りにいくと、蜘蛛が何かを飛ばしてきた。
ジュ~~~
エルート(これは・・・・酸か!土が溶けてやがる・・・。)
蜘蛛は正気を取り戻し、距離の離れたエルートに酸を連発してきた。
エルートは修行のことを思い出していた。
エルートは蜘蛛から飛ばされてきた液体を避けまくった。
単純にレベルアップしてスピードが上がったのもあるが、修行していないとここまでスムーズにはできなかっただろう。
エルート『こんなの当たるかよ~~~!!!』
リールは心の中でガッツポーズをした。
リール(修行の成果!!!役に立ったわね!)
そのままエルートは蜘蛛を戦士からもらった剣で蜘蛛の目玉を切りつける!
エルート『オラ!!!』
キー―――――ン
なんと剣を使っても蜘蛛に傷1つ入っていなかった。
戦士(目玉がここまで硬いとは。)
リール(指定モンスターだけどこんなにまで強いの!?エルートも強くなってるのに・・・。)
本来なら両断とはいかなくても、傷をつけることはできただろう。
しかし今までの修行で、エルートは剣の修行をしていなかった。
戦士(あいつの太刀筋は・・・グラグラだ。あれじゃ切れるものも切れない。)
酸を飛ばしてくる蜘蛛にエルートは防戦一方だった。
エルート(このままじゃジリ貧だ・・・何かないのか!?そうだ!!)
エルートは以前自分が集めたゴミ袋を持ってきた。
リール(それで何をする気?)
エルートは中に入っているアイテムの空瓶などを選んで蜘蛛に投げ込んだ!
エルート『くらえ!蜘蛛野郎!』ブン!!!
戦士(そんなの今更通用しないだろ!何を考えている!)
蜘蛛は飛んでくる瓶を酸を飛ばして対応した。
ジュ・・ジュ・・ジュ・・・・
溶けていく瓶・・・しかし中には溶けていない瓶もあった。
エルート(あの瓶だ!!!!)
エルートは溶けていない瓶を掴み、蜘蛛に向かって猛ダッシュする。
蜘蛛は酸を飛ばすが、一度に3~4個くらいしか飛ばすせなかった。
戦士(避けれるとはいえ、間合いを詰めすぎだ!直接攻撃されるぞ!)
蜘蛛は先ほどエルートの体液を吸収して、ダメージを負ったせいか距離を取り酸を飛ばすことに集中していた。
エルート『逃げんなぁーーーー!!!!』
そう言うとエルートは蜘蛛の頭上をジャンプし、蜘蛛は天に向かって酸を飛ばした。
リール(これがエルートの狙いなの!?)
酸はすぐに落下し、蜘蛛はすかさず避けた。体に多少酸がかかってもビクともしていなかった。
戦士(そんなに甘くねぇぞ。この蜘蛛は・・・。)
着地し蜘蛛が酸を避けるのを予想していたエルートはなんと・・すぐに蜘蛛の間合いに入り
蜘蛛の酸を飛ばすストロー状の発射口に瓶を被せた!
リール・戦士(何してんだ!!あいつはーーーー!!!!)
蜘蛛は驚き酸を飛ばした。
ブシュ!!!
すかさず距離を取ったエルート、手には酸が入った瓶が握られていたが、酸をかぶり手はただれていた。
エルート(・・・・いってぇ!!・・・でもこれで・・!!)
蜘蛛はストレスが溜まり接近戦に切り替え、エルートを八つ裂きにするつもりだった。
エルート(こっちもそのつもりだ!!)
接近する両者・・蜘蛛が足で攻撃するとエルートは避け、ジャンプした。
月明かりにエルートが重なり蜘蛛は一瞬動きが鈍くなる。
瞬間、エルートは酸が入った瓶を蜘蛛の目玉に向かって投げつける!
エルート『お前のもんだ!!!』ブン!!!
ガシャン!!・・・ジュ~~~~!!
瓶が割れて酸が蜘蛛の目玉に付着し、蜘蛛の目玉がただれてきた。
パニックになった蜘蛛はエルートに向かって酸を飛ばしまくった!
エルートの剣の切っ先に酸が付着し、溶け始める。
エルート『グ・・・・かまうもんか~~~!!!』
上空から落ちてくるエルート、両腕で剣を掴み目玉に向かって突き刺す!
ズブ!!!!
毒蜘蛛『キイイイイィ!!!!!・・・・』ズシーン
目玉に剣を突き刺し、毒蜘蛛の大きな巨体は倒れた。
エルート『・・・勝った・・・勝ったぞ!!!!』
掃除部屋から出てくるリール
リール『エルート!!!よくやったわね!!!!』
戦士(あんなバカみたいな戦い方ありかよ・・・・スゲーなあいつ。エルートっていうのか。)
遅れて僧侶が到着した。ノロノロ走る僧侶。
僧侶『戦士~~~大丈夫!??』
戦士『遅いぜ~~僧侶・・・。』
僧侶『すぐに手当するわ。』
戦士『俺は後でいい。そこらに倒れている奴らの方が重症だ。』
僧侶『わかった。それにしても戦士すごいね!あんなモンスターも倒すなんて!』
戦士『・・・俺じゃない・・・そこの忌み子・・・エルートがやった。』
僧侶『え!?忌み子くんがやったの!?』
戦士『さぁ、ここからお前の仕事だ。とっとと行った行った。』
僧侶『・・・わかった。すぐに終わらせるから!』
戦士(・・・あの忌み子短期間でここまで・・普通じゃあありえないな・・・。まぁいい。今は・・・)
戦士『寝る!!!・・・・・ZZZZZ』
戦士はその場で寝てしまった。
リール『よくあんな戦い方したわね。酸入り瓶を目玉に投げるなんて、なんで目玉には効くって思ったの?外皮には効かなかったじゃない。』
エルート『そんなの簡単だよ。あいつは目玉のある部分には一切酸を被らなかった。効かないなら自分の酸を避ける必要ないだろ~。』
リール(なんかムカつく・・・。)
リールは思いっ切り背中を叩いた。
バシー――ン!!!
エルート『いっっっった~~~~~!!!!!』
エルートが倒れ込むと・・・瞬間・・毒蜘蛛が復活し、エルートを狙った!
エルート(コイツ!!生きてたのか!!!)
リール(モンスター化しきゃ!!)
僧侶『・・・・なに!?』
戦士『ZZZZZZZZZ』
ヒュッ・・・・ビシ!!!・・・・ズシーン・・・
弓矢が毒蜘蛛の目玉の奥深くに刺さって、毒蜘蛛は消え、赤い目玉が残った。
ロシーア【・・・油断するな。バカ者・・モンスターは死んだら消える。消えなければ生きているということだ。】
ロシーアの声が指輪を通して聞こえてくる。
エルート【見てたんなら最初から助けろよ!ロシーア!】
ロシーア【私はお前を守る義務はない。勘違いするな。】
エルート【・・・・確かにそうだけど・・・でも助かった・・・あり・・】
ロシーアは言葉をかぶせるようにいった。
ロシーア【お前を助けたのではない、戦士と僧侶のためだ。】
エルート切れそうになる。
エルート【・・・このエルフ~~~~!!!!お前なんてすぐに超してやるからな!!!】
ロシーア【・・・あぁ。お前はすぐに強くなるだろう。今日の戦いをよく覚えておくんだな。】
そこから会話は途切れた。
リール『ロシーア様と話していたの??』
エルート『ああそうだよ。最近はあっちの方が一枚上手だ。』
リール『ロシーア様はすごいからね!』
エルート『あんなエルフすぐに抜いてやるよ~~』
リール『ロシーア様を・・・・侮辱するな~~~!!!!』
ベシ―――――ン!!
エルート『いってぇーーーーー!!!!』
夜が明けてきて、日が差してきたダンジョン広場。
ダンジョン広場のモンスター事件は一件落着した。




