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卑しい貴族


前回のあらすじ


ダンジョンが復活して挑戦するエルートとリール。

スライムをなんとか倒すが、貴族冒険者に難癖をつけられ指輪に擬態化したリールを取られそうになり、無抵抗で暴行を受ける。

そして貴族に仕える用心棒が、瀕死のエルートに大剣を振りかざしたのであった。



~ダンジョン・出入口付近~


ズン!!!!


用心棒の大剣がエルートの足を切りつけていた。

エルート『グ!!・・・ヒュー・ヒュー・・・』

エルートは全身が痛み、どこを切られたかわかっていなかった。

リール『・・もういいよ・・・エルート・・・私はなんとかするから・・・』

エルート『・・・死んでも守る!!』

冒険者貴族『おい!とどめをさせって言っているんだ用事棒!!!そんな薄皮切るためにお前を雇っているわけがないだろう!!!』

用心棒はまた剣を振り上げる・・・。

暴行され、切れつけられてもエルートの精神はむしろみなぎっていた。

用心棒(・・なんという胆力・・・何とか・・・避けてくれ・・・)

振り下ろそうとしたその瞬間。


ヒュ!・・タン!!!


矢が用心棒のすぐ横の壁に刺さる。動きを止める用心棒。

冒険者貴族『なんだ!この矢は!!お前は!』

暗がりから出てきたのは冒険者一行だった。

ロシーア『そのくらいにしてやってもらえないかな。マーズ伯爵。』

エルート『・・・・ロシー・・・ア・・?』

リール(ロシーア様!)

マーズ伯爵『元六聖士のお前がなんでこんなとこに!?』

ロシーア『普段は顔を隠しているからな。私がコイツの代わりに頭を下げよう。』

そう言うとロシーアは頭を下げた。

マーズ伯爵『お前が忌み子をかばうとは、どうゆう風の吹き回しだ?』

ロシーア『目の前でやられると気分が悪いだけだ。私の見ていない所でならかまわん。』

ロシーアは言葉にすごみを含め、多少の殺気を出した。

マーズ伯爵『わわわかった。お前に免じてこのガキを許してやろう・・。感謝しろよ!!』

そう言うと、マーズ伯爵は逃げるように帰っていった。

用心棒『・・・すまない。助かった・・・。』

ロシーア『雇い主はしっかり選べ。そうもいかないときもあるがな・・・。早く行け。』

戦士『ロシーアすっげーーーー!!!』

魔法使い『ロシーアって六聖士だったの!?』

ロシーア『・・昔の話だ・・・・。それより・・・。』

ロシーアがエルートに目を向けると、すでに僧侶が回復魔法をかけていた。

ロシーア(変わらないな・・・・。あの娘も・・。)

エルート『・・・ありが・・・とう。僧侶さん・・。』

僧侶『いいの!安静にして、このぐらいならすぐに治せるわ。剣の傷も浅くて助かったわ。』

エルート『すごい!もう治ってきてる!』

僧侶『あなたの治癒力を高めているだけだから動いちゃダメ!!!』

僧侶(あれ?この子の傷もう塞がってる・・・。)

僧侶『忌み子くん!君って・・・』

ロシーア『さぁ行くぞ、やることはやった。』

僧侶を引っ張るロシーア。

冒険者一行もすぐに行ってしまった。


エルート『嵐のような奴らだったな・・・』

リール『エルート・・今日はもう帰りましょ。修行もなしでいいわ。』

エルート『お・・・そうか。』

エルートもダンジョンを出て掃除部屋に戻った。


~ダンジョン入り口・掃除部屋~


夕方になり、冒険者はみな帰路についていた。


エルートは帰ってから早めの夕食を食べて、藁布団に横になってすぐに眠ってしまった。

リール(回復魔法の影響ね・・・。)

リールは自分を守るエルートの姿が頭から離れなかった。

《死んでもに守る!!!》

リールは顔を真っ赤にして、ジタバタしていた。

リール(こんな奴がちょっとカッコイイと思ってしまった・・・。恥ずかしい!!!)

リールもエルートの寝顔を見ながら、いつの間にか眠ってしまっていた。


~王都・マーズ伯爵家~



マーズ伯爵の家は白のように大きく煌びやかな作りだった。

しかしそんなことは彼にとって当たり前。今日の出来事にイライラしていた。


大きいソファーに座って、だらしなく座っているマーズ。

マーズ伯爵『クッソ!!あの指輪!欲しい!どうしても欲しい!!!何かないか?』

マーズ伯爵(私の手を汚さずに・・・指輪を手に入れるには・・・。あいつの家はダンジョン入り口のボロ小屋・・・そうだ!!)

マーズ伯爵『おい!!誰かいないか!!!』

召使い『はいただいまー。』

マーズ伯爵『コイツを雇ってあのガキを殺せ。指輪の価値に比べたら安いもんだ。すぐに取り掛かれ!頼むぞ!』

召使い『かしこまりました。マーズ様。』

マーズ伯爵『これであの指輪は私のものだ!!!はーはっは!!!』


下品な笑い声が、家に響いていた・・・。



それから3日後・・・・


~ダンジョン入り口・掃除部屋~


昼頃・・・今日は珍しく雨が降っていた。


エルート『ダンジョンには行かなくてもいいのか?リール。』

リール『また面倒な貴族に絡まれたら、一貫の終わりなのよ。』

エルート『それはそうだけどさ~~・・・。』

リール(私の時と違って、貴族が邪魔になるのは計算外だったわ・・・。どうする・・・。)

エルート『修行もここ三日やらなくていいっていうし・・・何かあったか?』

リール『たまには、休暇も必要でしょ。いらないなら今から走ってきなさい。』

エルート『う!・・・それはやめとく・・。』

エルートは今までのケガもほぼ完治して、食糧もあるし気分が良かった。

エルート(この平凡のまんまでもいいかなぁ~~~)

エルートは久々の休みで平和ボケしていた・・・。

リール(なんかあいつイラつくわね)


そんなこんなでゆっくりとした時間が流れた・・・。


ダンジョン入り口~広場~


夜・・・雨はまだ降っていた。


夜になるとダンジョンは人が全くいなくなる。しかし今日は夜にダンジョンに入る男がいた・・・。

雨で身体を洗っていたエルート不思議そうに男がダンジョンに入るのを見ていた。

エルート(珍しいなぁ~こんな夜更けに。)

そして、深夜・・・エルートとリールが眠っている間に事件は起きた!


なんとダンジョン広場にモンスターが数十体、ダンジョンから出てきたである!

モンスター数体が樹海に向かって走り出した。そうすると結界が反応してはじき返されるモンスター。

樹海に入れないと知ったモンスターは何回も結界を壊そうとするモンスター、辺りを探索しているモンスター。そして掃除部屋に近ずくモンスターがいた。


結界が反応したことにより王都の騎士隊、冒険者ギルドに緊急信号が伝わる。

結界は持って10分・・・その間に、騎士や冒険者が集まってモンスターを討伐する段取りになっている。


~王都・騎士団本部~


騎士団長【ダンジョンから緊急信号が来たとの連絡が入った!これより下級騎士A班は討伐に向かえ!!】

下級騎士1『またいきなりの出兵かよ~~~』

下級騎士2『どうせスライムが逃げ出したんだろ~~』

下級騎士3『深夜はつらいなぁ~~』

他下級騎士『めんどくせぇーーーー』

下級騎士は6人体制でダンジョンに向かった。(ダッシュで)


~城下町・冒険者ギルド~


ギルド長【ダンジョンに異常発生!討伐できるものは今すぐ向かえ!倒しただけ報酬をだす!】

冒険者(どうせ2体ぐらいだろ~~)

冒険者2(いくだけ無駄だな~寝よう)

冒険者3『・・・・・ZZZZ』


冒険者一行はというと・・・

戦士は剣の素振りをしていた。

戦士『・・・・フン!フン!!フン!!!なんだ!緊急事態?・・丁度良い・・・行くか!』

僧侶『ケガ人が出るかもしれないし、行かないと!』

魔法使い(またショボいモンスターだろうなぁ~~ZZZZ)

エルフ(・・・・・)


実はこの緊急事態はだいたい雑魚モンスターが扉から出てしまったパターンがほとんどだ。

なのでほとんどの者が危機感を抱いていない。


その頃の掃除部屋というと・・・


~ダンジョン入り口・掃除部屋~


深夜・雨


外ではモンスターの鳴き声と雨音が響いていた。


エルートとリールは息を潜めていた・・・。

リール『外の様子がおかしいわ・・・』

エルート『そうみたいだな・・・』

その時!掃除部屋のドアが破壊される!!入ってきたのは犬型モンスター。

掃除部屋に中に入り辺りを探っている。

エルートは藁布団に潜って隠れ、リールはモンスター化して隅に隠れている。

犬型モンスター『グルルルル・・・・』

エルート(いま襲われたら即死だ・・・・。バレないでくれ・・・。)

犬型モンスター『スンスンスン』

エルート(匂いを嗅いでやがる!ヤバいぞ!)

犬型モンスターは盛り上がった藁布団に意識を向ける。

エルート(ヤバいヤバいヤバい!!!!)

しかし犬型モンスターはそっぽを向き、掃除部屋から出ていった。

エルート(あっぶね~~~~!!!!!!)

エルートはさっき水浴びをして体臭を落としてすぐに藁布団に入ったため、体臭が藁臭くなってモンスターは気がつかなかった。

あと藁が単純に古くて物凄く臭かった・・・・。

リール(とりあえずバレずに済みそうね。)


それから数分後、低級騎士がダンジョンに到着した。

低級騎士『おい!なんだよ!コレ!!』

低級騎士2『低層モンスターでもそこそこ強いモンスターがこんなに・・・』

低級騎士3『おい!中層の毒蜘蛛がいるぞ・・・・こんなの聞いてない・・・』


それからすぐに他の冒険者が来た。

冒険者『今回はやばいぞ!』

冒険者2『え・・・逃げた方がいいよね・・。コレ。』

冒険者3『逃げられるのか?持ってあと2分くらいだろ・・・』


騎士団が6人・・冒険者が4人で10人。

数でも負けていて、尚且つこの中で毒蜘蛛を倒せる人間はいなかった。


低級騎士『おい!冒険者!協力して隊を組んで戦おう!先陣を切ってくれ!!』

冒険者『んなこと行ってお前ら騎士団は逃げる気だろ!いつもの手だ!』

そんな言い争いをしているうちに結界が壊れそうになる。その時!


さっそうと結界に入り切り込む男がいた。戦士だ!

戦士『オラよ!!!』

戦士は初手で低層モンスターを2体倒し、3体目と交戦していた。

そこから勢いづき、雪崩のように騎士団・冒険者が結界に入っていった。

『奴に続けーーーー!!!!』

『やらなきゃやられるんだ!!!!』

『うおおおおおおおお!!!』


激しい戦闘が繰り広げられた。弱いモンスターを先に倒して、足場が悪い中、お互いがお互いをフォローしていた。

この雑魚を倒して、一気に中層モンスターを叩くつもりだった。

中層モンスターに対しては基本的に深追いはせずに、数人で時間稼ぎをして抑えていた。


モンスターも残り4匹になって勢いで倒そうとするが、そんなに都合よくいかなかった。

彼らには1つ大きな誤算があった。


中層モンスターが2体いたのだ。


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