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七曜  作者: 酣酔楽
2/8

はじまり

(せつ)、こちらにおいで。」


 祖父は静かに自分を呼んだ。

 彼が、僕を呼ぶのはとても珍しいことだ。

 今日は夕食も済んで、あとは寝るだけのはずなのに、一体どうしたのだろうか?そういえば、今日、祖父は日が傾きかけたころから空を見上げて眉根をよせていた・・・。

 節はなんだか変に緊張して、彼のもとに近づいた。


「じいさま。どうしましたか?」


 祖父は、せまい部屋の窓際の隅にある椅子に座っていた。僕が近付けば、窓の外に向けていた顔をこちらに向け、そうして、僕の顔をじっと見つめる。


「節、お前はいくつだったかな?」

「18です。」


祖父は少し微笑って「そうか」と答えた。

そうして、またじっと節の顔をみる。節は祖父の瞳が苦手だった。なんでも見通されているようで、なんだか小さい頃から怖かった。見つめられると、いつも居心地の悪さを感じていた。・・・でも、今日は全然そんな気がしない。

 節は動かない祖父に、もう一度尋ねた。


「どうしたんですか?」


 祖父はそれでも何も答えず、ただゆっくりと、月の明かりに照らされている節の頬へ手をあてた。



「節・・・。」



 静かに、愛しそうに、老人は一度だけ名を呼ぶ。

 しわしわの乾ききった暖かい手が、頬をなでる。

 深い深い瞳で、同じ色の瞳を、優しく見つめる。




 節はわけのわからないまま、自分の眼からつぎつぎと零れおちる、不条理な・・・涙に気づいた。





翌日、節のもとへ白茅からの使者がやってきた。




“じいさま いってきます”




とりあえず始めてみましょう

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