天才美女剣士とフィアンセと
(このたびは、私くしのような卑しき者為、主、自らおいでいただき有り難き幸せにございます、
失礼ながらも慎んでお伺いいたします、
我が父よ、此度はいかようなご用件にございましょうか?)
《うむ、目の前の敵は兵ぞ、ゴッド姉ちゃんアッコの30倍の強さじゃ
みすみす我が子を殺される訳にいかん、よって、わしが知を与える》
(はは、有り難き幸せ慎んで承ります)
《神託じゃ、
お主は湖に来ています、すると突然女神が現れ、こう言います、銀の斤と金の斤どれでも好きなものを持っていっていいと、
さぁお主ならどうする?》
ええぇ!神様、何か聞き覚えが、
いや、ざっくりすぎる、残念神託スよ。
「そうスね、
答えスか、強いて言うなら、
そこに山があるから……
昇るだけス」
《グッジョブじゃ》
ええぇ!何か分かり会っちゃったよ、この二人、
そのとある監督のハイタッチ代わりの拳と拳を合わせるのを止めてくれ。
間宮 美奈兎は怒っていた。
目の前の珍獣が突然笑い出した事、
そのためにスタートと決めてた落ち葉を見失った事、
何よりもその珍獣こと四谷 雄二の優柔不断さが自分の婚約者に似ている事が我慢できなかった。
先刻、カフェでいちゃつく姿を見て……彼女にはそう見えたらしい……途中、拳銃を口に突っ込まれていたんだけどなぁ……
その葉月をうらやましいとさえ思った。
(可愛い彼女さんが誘っているんだから、少しは喜びなさい、
君の瞳に恋してる……とかぐらい言えばいいのに。
私もあんな笑顔ができれば可愛いく見えるのかなぁ)
彼女には生まれた時から婚約者がいる。
家同士が決めた許嫁だが断れる訳もなく、せめてどんな輩かを知る為に潜んだ先で、
その婚約相手に一目で恋に落ちる、もちろん一目惚れだった。
しかし、御三家筆頭家 間宮 美奈兎と同じく御三家 倉橋 伊織との出会いは最悪であった。
親睦をはかる為、設けられた席で、こともあろうに両家親戚筋が口論となる、
片や御三家筆頭本家本筋ながら闇に隠れ地味な間宮家、片や落ちぶれたとはいえ、業界の広告塔、業界の顔となった見栄えのいい倉橋家、
互いに譲れないものが……、
譲れないものがあった。