美少女剣士は躊躇わない
お前が弱いんじゃない、俺が強すぎるんだ。
なんてセリフを言う日を毎晩と想像した事はないだろうか?
そんな時は枕を頬擦りし照れてしまうものだ、
でも今、四谷 雄二28歳は地面とキスしている。
744号有事特務室、国の秘密機関、主に近年害をもたらす『穢れ』に対し再結成された部署である。
彼もまた見える人として引き抜かれ、おつむや性格に難があるが腕に覚えのある人材だ。
今日も店に訪れた、メタルスライム、
いや、通称はぐれを職質の名の捕獲をしようとして返り討ちとなった所である、
古くはファラオ、シャーマン、魔術師、陰陽師、錬金術師など時代は違えど平和になればなるほどに、
需要度がなくなり異形を疎まれ、家が没落してしまうものなど、
ほとんどがその力の意味を知らずに隠れるように暮らしている、
埋もれた人材を発掘するのも彼らの大事な仕事、あわよくば味方に間違っても後ろから刺される事のないようにが本音の所だ。
そろそろ本題に戻ろう、何故に雄二がセーラー服ポニーテール美少女剣士に伸されているのかを。
やうやう我こそは……と名乗りをあげた訳でなく、
ねぇ君、僕とお茶しないとカフェから出たて者をナンパした訳だが、
ワンパンチで、
いや、まがいなりにも剣技、それは突きだった。
雄二が二回突きをさばき、三回目突きを無意識によけるという動作が一撃に見える程の見事な突き。
それはきっと新撰組一番隊隊長、天才剣士とうたわれた沖田 総司の三段突き。
盤上でいうならば、最善の一手でも最強の一手でもない、
それは受けた者自身に問いかける剣、
試しの一手となった。
人は究極の選択を迫られた時、どうだろう?
しかも選択肢は竹槍でB29を落とせの絶望的な択一ときた。
ガタガタ震えが……そう、泣けてくるだろう、
今の雄二のように、
「……バカ息子じゃないミスターだ……」
イヤ、揺れながら揺れながら笑っている。