1章 男は気に入らない
食物連鎖。生きとし生ける物の全てが背負うであろう、宿命のピラミッド。
その頂きの輝きがませばますほどに、
悲しいカナ闇もまた濃くなっていく、魑魅魍魎たちを司る逆ピラミッドの頂点を『穢れ』。
ここは生者と死者が交差くする世界。
全ての日常は虚栄か?幻か?
ただ続く、
呪いのように。
某首都 オフィス街 朝のとあるカフェ。
「……気に入らんな……」
吐き捨てるように、男は言った。
「またなの、
私は嫌いじゃないけどね、普通って大切よ」
カジュアルな制服姿の店員であろう、女は子供をあやす如くにあしらう。
「どいつも、こいつも同じ方向を向いて、アリンコか、つうの」
「あぁ、分かる、面倒くぅさぃ……
今まさに私の目前の虫けらもそうだもの」
互いに見つめあい軽く会釈をし、
オメエ、マジいい死に方しねゾの意味を込めた変顔をする、
二人は物凄い空気間の世界を創造した。
「……なんだかな~間違ってたら謝罪するが、
君はウェイトレス、私はゲスト、そこに三波 春夫チックなものは存在しないのかね?」
ちょっと面倒くさい、拗らせ男を四谷 雄二。
「お客様、そちらのカプチーノ550円なります、
そして、お帰りはあちらになっております」
スマイル0円バリのこの夏一番の笑顔を見せつける、
彼女を三浦 葉月と言う。
「お前に同僚であり客である、
俺の安らぎの時間を奪う権利があるのか?」
「萌え萌えキュン!
私のウェートレス姿に安らいでるの?」
「……ないわ、ない、お前に萌えはねぇい」
ゲロゲロゲーン!
のタイミングで死んだ魚の目のようになった四谷の眼に、
ウェートレス姿の牝ゴリラが写っていた。