2章 Gショック生活課∽悪質クレーマーとアホ上司のWの悲劇∽
男は大きなため息をつき、数枚のプリント用紙とにらめっこ。
「こんなの上に報告出来んゾ」
市民課課長、村野 耕介【むらの こうすけ】51才は机の上の書類に一通り目を通し悩んでいた。
世の中には利益を産み出せない人がいる、そのような人ほどプライドが高く、根拠ない自信を振りかざし、
現在の自分の現状を良しとせず、自らの持論を高らかに社会を憂いている。
といった人は役所のお客様として色々いる、もちろん、そういう駆け込み寺であり、
国が認める公共の場であるから良し悪しにしる蕨をも掴むべきだと思う。
が、がっ、
吉住 恭華【よしずみ きょうか】という女は度を過ぎている、
一言で言うと狂っていた。
風貌は暗めで眼鏡をかければ、教育ママといった感じで20代なのに40を越えているようにしか見えないし、
黙っていると怒っているようにしか見えない、
実際にいつもイライラしている。
つまり、クレーマーである。
幽霊が出て生活を脅かす、区民である自分を守るのは国の義務だと意味不明な要求をして譲らないのだ。
残念、ゴーストバスターズはやってない……お門違い、正直、そのまま病院に行ってほしい。何故こんな、用件を生活課が受ける事になったのかといえば、
比較的に時間が空いていたからもあるが、今年来た彼より10才も若い上司、年下部長のおかげである。
局でたらい回しなっている、しかもクレーマーの案件を無事に解決すれば自分へのおぼえもよろしいと踏んだのだ、
上にはへいこらし、下には厳しい、間違いがあっても下に全て責任を押し付ければいいとの考えのもとだ、
つまり、天下無敵のおべっか野郎である。
そして、村野は、また大きなため息をつくのだ。
「課長、また根を詰めすぎ、持病が悪化しますよ」
契約社員の濱田 美歩【はまだ みほ】がお茶汲みがてら声をかけてくれた。
彼女も村野と並ぶほどのGの被害者だ、あっ、Gとは、年下部長の事を指す隠語、
村野は基本的に出世に興味のない、現場主義者で上にも下にも信頼のあつい人物、
つまり、兄より優れた弟などいない的な思考のGが嫌いとするタイプ、
美歩は見た目、若く可愛いがセクハラに対して男気をもつて接するタイプでGのチンケなプライドを逆撫でしてしまったのだ。