その時、刻の涙をみる
そして、放たれる全てのしがらみを越えて、枯れ葉は落ちているか、
美奈兎の背に翼がはえているように錯覚する、愛刀【朝凪】が光を帯びて、突きたつ先に。
四谷、四谷 雄二が神の詩を聞くのか。
まるで、空間が……時が止まってしまったような感覚におちて。
「問題です。
突然女神が現れ、銀の斤と金の斤どれでも好きなものを持っていていいと言います、
さぁ君ならどうする?」
そして、聞こえる。
《足元がお留守じゃわい》
下段に構えた【彼岸花】が地から天に舞うように、
美奈兎の踏み込であろう利き足めがけて、切りつける。
そんな……そんなの知っている。
踏み込む足の時を、時を外す。
その少し前を【彼岸花】が皮一枚で切り裂く。
刺すような刺激を撒き散らしアドレナリンがそれを押さえて、
そして、叩き突くだけ、三段突きを。
勝った。
美奈兎が勝利確信した時、彼女は目撃する、
この世のモノとは思えぬ愚かで醜悪なニタニタ笑う雄二のゲス顔を。
……それは重力を無視して、宙を舞っている神々しいまでのお目足と純白の絹地が絶対領域さえも越えていく。
今も昔も浸食されぬサンクチュアリの黄金比、誰も皆、行きたがるが、遥かな世界。
往年のマリリン モンローを彷彿させるセクシーショット。
ぱん、ぱん。
ムッシュムラムラ。
あざーす、こういうのを待っていた──。
キュートなヒップがスキドキ!純白の絹地にデフォルメされたワンちゃんまっしぐら的なイラスト、
ウインクして舌出ししているのが色んな意味でまぶしいゼ。
「銀の斤?金の斤?チッチッチ!玩具の缶詰めじゃないんだ。
男なら女神様が欲しいの択一だろう──」
めまいがするほどに揺れている、耳まで赤く染め上げて。
そして、呪いの呪文を連呼する
「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す──」
怒濤のように怒り、共に吹き出す、そのさまを称して、人はいう、
烈火の美奈兎と。
最早、それは業なのか、災いなのか、彼女は人のモノとは思えぬ速さ、
疾風になりて黒き獣ようだった。
目にも止まらぬ早業で誰も止められない、その磨きぬかれた爪は【朝凪】が仇敵、雄二に襲い掛かる。
カァキキィィ──。
切り裂かれたような金属音が響きわたる、刀身が止まった、止められた、
肩口で銀の毛並みが鮮やかになびく、
妖狐、いや、銀狼の女に。




