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序章

 初めて全ての人の幸を望んだ少女は、


一人の為に世界を滅亡させんと、


……最初の堕天使となった。



そんな些細な堕天使の物語。




……この世は無常なり。


弱い者がさらに弱い者を叩く、

悲しいかな今夜もまた弱者達の叫びにも似た救いの声がこだまする。



 「──ファ、ファ、ファッッッ」

バシァッッン!!


霧露の暗闇の中から少女は走ってくる、

金髪で黒のフリルの洋服を着た、おおよそ、肥溜めのようなこの街に似つかわない……、

イヤ、今それ相応に……足を滑らせ転び、水溜まりにはまり、


苦痛と憎悪と恐怖の眼差しは正にこの街そのものだった。



カン、カン、カン、カン、カン、カン。


と、スキンヘッド、フード、金髪のチンピラ崩れ三人が各々

鉄パイプを振り回し、凶暴性をあらわにあらわれる。



その歩みは余りにも遅く、大きな音をたてオーバーアクション、端から見れば獲物を狩る、

追い込み漁だが違う、肉体的にも精神的にも追い込まれる少女を見て快感を得ている。

間違いなく、それを楽しんでいた。


「へぇへぇへぇ、やっぱし髪金だよ上玉だ」


「あぁ?まだガキじゃねぇか、盛るな」

「蒼けりゃ蒼いほどイイて客もいるんだ」

「──で、どうする……」


「どうするも、こうするも

ガキだが女だ」

「いつもの教育活動か悪くない……」

「そうこなくちゃアンタも好きねからのぉ!ソウくる~ぅ」

男らは粗暴であり、ゲスである。




「……くッ……」

少女はうつ向き加減で何かを囁く。


「お?──恐くて声も出ねぇか?だがイイ、その目がイイ……イヤ、この俺の高揚感、支配感、

蟻を!虫を!踏みつけ時の絶対的理不尽感がイイ!!」



「……クズ野郎……」

少女は育ちがイイのだろう、暴言が絵になる。


パチンンン。



そんな彼女に平手打ち、金髪男が冷たい目で畳み掛ける。

「なんか勘違いしてないか?世の中が悪い、社会が悪い、運が悪い、俺らが悪い、

なんて思ってねぇか?おめぇは?──そいつは違うな、

弱い奴が悪いんだ!!」


──!!少女が悪魔の微笑。

シュン……!バサッ!カランカラン!

「「「うぎぁぁぁあぁあぁ」」」

い、イヤ、何かが一瞬でスローモーションのように男ら3人の鉄パイプを持つ手を切り落とす、

痛さで縮み込む者、パニックで落ちた手を倒れた込んだまま手繰り寄せようとする者、

血吹雪が血溜まりとなる、地獄絵図の中を……、

「たぁ、助けて……痛いぃぃ死にたくない」




「──そうね、一人だけ見逃そうかしら?……じゃ、三人で殺しあえ」


「「「うぅ、なぁ──!?」」」

ドカァァァン、ドカァァァン。

返答など問わううちに両手から焔の衝撃波。



そこに地獄の業火の中を少女。



「ん?弱い奴が悪いんでしょ、

ム・シ・け・ら!!」

幼くも紅の翼をもつ堕天使がいた。



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