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<第十九章>エピローグ

後書きの予告は次作を見ていただくためにかなりかっこつけて書いています。

不快に思った方が降りましたら申し訳ございません。

<第十九章>エピローグ




 目の前に黒い大型の車、ハマーが止まっている。

 キツネは二人をそれに乗せると、一人中には入らずそのまま何処かへ向かって歩き出した。

「おい、どこに行くんだ!?」

 悟が不思議がって聞く。

「次の仕事だよ、エリートは忙しいんだ」

「……――まただ誰かを犠牲にするのか」

 キツネの作ったような笑顔を睨みながら悟は嫌味を込めて言う。その様子を楽しそうに見ると、言葉を返すことなくキツネは歩き出した。

「……勝手にしろ」

 悟は馬鹿にしたようなキツネの態度に苛立ちを覚え、車内から窓を叩いた。それを合図にするかのようにハマーはエンジンを入れ走り出す。

 キツネは遠のいていく悟と安形を乗せたハマーを物思い気に見送ると、一人歩みを続けた。

 しばらく歩いていると焚き火が見えてくる。悪魔避けのつもりだろうか。

「――片手を切り下ろしたって言うのに随分元気なんですね、博士」

 ニコニコ笑いを作りながらキツネは焚き火を作った主へ近づく。

WASPKNIFEワスプ・ナイフの切れ味は凄まじいからね。綺麗に切れたおかげで痛みはそんなになかったよ」

 志郎はキツネの登場に驚くことなく答えた。

「それで、左手を切断してもがいていた僕をわざわざ助けてここに残した目的は一体何なんだい?」

「――数日前に頼んだことは出来ていますか? 怪女王や三本腕のサンプルをください」

「あれか――……悪いけど怪女王の方は広野さんが邪魔をしてきたから手に入らなかったよ。三本腕だけでいいかな?」

「まあ、しかたないですね。あの男のアホぶりは僕も計算違いでしたし。それで良しとしましょう」

 キツネはため息をつきながらそう言った。

「君の方も約束を守ってくれるんだろうね?」

 志郎は無くなった左手首の付け根をさすりながらキツネに質問する。

「約束? ああ、イミュニティーへの復讐のことですね。大丈夫ですよ、もうすぐ来ますから」

「来る? 一体何が……?」

 志郎はキツネの言葉を理解出来なかった。

 首をあちらこちらに回してみると、その途端車の音が聞こえてくる。大型のトラックのようなその車は二人のいる位置の先にある小さな道に停車した。

「あれは……――何なんだい?」

 志郎はその車の中から出て来た屈強な男達の姿を緊張した目で見つめた。

「ディエス・イレ(怒りの日)の者ですよ。イミュニティーの依頼を受けたと同時に彼らの依頼も受けていたんです。貴方を引き渡すという仕事をね」

「な、何だって!?」

「何をそんなに驚いているんですか。彼らはみんなイミュニティーを恨んでいる連中だ。貴方も同じでしょ。僕は確かに言いましたよ、イミュニティーへの復讐を手伝ってあげると――これでしっかり約束は果たせましたね」

 キツネはクスクスと笑った。

「ぼ、僕にテログループのメンバーになれって言うのか!?」

 志郎はキツネの計画を知り、嵌められたと悟った。何とか逃げようとしたが、既に背後に回りこんでいた男達に後ろから拘束され身動き出来なくなってしまった。

 そのまま捕獲された猫のように彼らの車へと連れて行かれる。

 男達の一人が志郎を運ぶことを他の人間に任せると、キツネの元へと歩いてきた。

「報酬はいつもの講座に振り込んでおく。それでいいな?」

「ああ、それでいい」

キツネは淡々と答える。

「まさかイミュニティーが雇った黒服もお前だったとはな。おかげで大切なスパイを失ってしまった」

「仕事を平等に行うから黒服はやって行けるんだろ? 僕の所為じゃない、小さなことを根に持つな。これもビジネスだ」

 男の言葉を軽くキツネはあしらう。

「ふん。まったく、本当にいつもキツネみ包まれたように人を騙すのが上手い男だ。じゃあな、また何かあったときは頼む」

「ああ、お疲れさま」

キツネは笑顔で車に戻る男を見送った。

「これで――博士は……――――」

 小さく呟いたが、誰にもその言葉の内容は聞こえない。

 遠い目で車に詰め込まれる志郎を見つめながらキツネはただずっと佇んでいた。









ー予告ー

 尋獄2(SURGE GARDEN)



超感覚者の秘密を知りたくないか?

人の身でありながらそれを超えた感覚・・・。

今、その全てが明かされる。

舞台は国内最大級のサファリパーク。

コード”シシュフォス”の暴走によってばら撒かれたイグマ細胞により大混乱が起きる中、父を探しにこの場に来ていた関野朝奈は見たこともない怪物達と遭遇する。

イミュニティー、黒服、ディエス・イレ、それぞれの思惑が交差する中、朝奈は超感覚者の秘密、そしてディエス・イレの計画を知るのだった。

前作の登場人物も多数登場。

今回は前作であまり出番の無かったディエス・イレを中心に話が展開する。

ディエス・イレの計画とは、イミュニティーの目的とは、そして銀色の十字架を首に掛けた2丁ナイフを操る謎の黒服メンバーの正体は・・・?

今、新たな地獄が尋ねてくる。




*主人公は新キャラですが、ちゃんと前作の主要登場人物も出てきます。

敢えて一時的に主人公を変えることで前作から登場している人間がかっこよく見えるかなと思いそうしてみました。

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