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サザンクロスよりも矮小な……
風に踊るココヤシの下。波の音を聴きながら、眠るあなたに膝を貸す。
……いや、貸すというより、もはやこれは。
「……強奪」
一月ぶりにこの島を訪れたあなたは、相変わらず強引で。頑なに拒否するわたしに、無理矢理このペンダントを押しつけた。まばゆく輝く蒼玉が嵌め込まれたペンダント。
「わたしみたいな田舎娘には似合いません」
このペンダントも……あなたも。
「……知ってるんですよ?」
あなたが、海賊だってこと。
あなたが、隣国の王子様だったってこと。
大きくなくても、輝けなくても。
この石が似合うわたしになりたい。