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道化街
ようこそ夢に飢えた若人よ。なるほど遊び足りないんだね。
さあ——
笑い合う親子の隣を通り過ぎ、店先で痴話喧嘩をしているカップルの前を横切る。なるべく顔を伏せ、急ぎ足で。
目を覚ますと、そこは知らない街だった。傍らに落ちていたメモには「帰りたければ、街の中央広場へおいで。誰とも目を合わせないでね」とのメッセージ。
アコーディオンの軽快な音楽が聞こえてくる。広場の真ん中には、小さなピエロの人形が、赤い風船に囲まれて座っていた。その手には鍵が握られている。
鍵を取ろうと手を伸ばしたそのとき。
ピエロと、目が合った。
——楽シい遊戯ノ始マりダ。