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黒鳳蝶
夜を見つけた。
まるで暗くて厚い、静謐な布帛。
包まれるのか。呑み込まれるのか。
誘われるまま彼女に近づけば、妖艶な笑みを注がれた。
「おかえりなさい」
形の良い艶やかな唇が、滑らかに動く。歌うように、舐めるように、言葉を紡ぐ。
初対面のはずなのに、どこか懐かしい。
白い腕が伸ばされる。甘い香りが鼻孔をくすぐる。
煌めく粉塵。脳が痺れる感覚。
もう、逃げられない。
夜を、見つけた。
夜に——見つかった。
夜を見つけた。
まるで暗くて厚い、静謐な布帛。
包まれるのか。呑み込まれるのか。
誘われるまま彼女に近づけば、妖艶な笑みを注がれた。
「おかえりなさい」
形の良い艶やかな唇が、滑らかに動く。歌うように、舐めるように、言葉を紡ぐ。
初対面のはずなのに、どこか懐かしい。
白い腕が伸ばされる。甘い香りが鼻孔をくすぐる。
煌めく粉塵。脳が痺れる感覚。
もう、逃げられない。
夜を、見つけた。
夜に——見つかった。