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  作者: りょう
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導き

助けられたのは50代前半位の浅黒く少し厳つそうで不愛想な男

その男の汚れた軽トラに乗せられてタオルを渡された

「たまたま通ったら、こんな場所にリアカーと荷物置いてあるから

てっきり何処かの爺さんか婆さんが倒れてるんかと慌てて探してたら

まさかおまえとは・・・」と渋めの低音で、ぼそっと喋る

「すみません、道に迷ってしまったので」明らかな嘘を軽く聞き流す男

「どこに行けばいい?」

「・・・・・」

「野宿か?」

「いえ、行き方がわからないです」

「困ったな、なんか目印ないんか?」

「茂さんて知ってますか?」

「しげ?知らんな、俺も最近ここに来たからな」

「島スーパー解りますか?」

「おぅ!あの、お化け屋敷みたいな店か?」

「あっ、そうです、そこ迄行けば解ります」

荷物とリアカーと俺を乗せて走り出した


店の周辺近くに着くと強風の中幾つかの光と人の気配があり車から降りてみると

俺を見つけた茂じぃが駆け寄った

「おまえ何しよっとか!どないしとっとか?」

「すみません道に迷ってしまってて、この人に助けてもらいました」と車の方を見る

「そおか、良かった良かった無事で良かったわい」と安堵した表情を浮かべた

老人は車の男にお礼を言いに近づいた

男は送って行くと言い

家まで乗せてくれた


老人は、あいかわらず何も聞かなかった


それを切っ掛けに、その男と老人が親しくなっていった

古びた爺さんの家の手の届かない修理をすれば

爺さんの作る作物を渡す


魚釣りの上手い爺さんから釣り方を伝授してもらい

爺さんの代わりに魚を釣ると、さばいたり煮つけにして渡す


気が付けば週に2、3度は来ていた


俺も時々一緒に釣りにも行くようにもなっていた


「典明さんも釣り上手くなりましたね」

渋みのある顔で笑う男

「典明さんも、いろんな場所から、ここにきたんですか?」

「誰か言ってたか?」

「いえ以前、店のおばんが、ここの島は流れものが多いと言ってたので」

「おまえもか?」

「はい」

「なんでここに来た?」

答えないでいると

「おれは人付き合いの、めんどうな生活は息苦しいし関わるのも苦手や」

「同じです」

「まあ、そんなんしか、こんな島で暮らさんやろ」

何故か、この男には自分と同じ匂いを感じる


互いにお互いの事は何一つ知らないが

何故か何か心の深い部分の闇みたいなものを感じ

傍にいる事は苦ではなかった

むしろ落ち着いていた







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