8-7=代償
俺に一体何をしろと言うんだ・・・。
「別にあなたはしたいようにすればいいだけですよ。
後はこちらで処理しますから・・・ね?ルル」
気が付かなかった。
男と俺の間には黒い猫が座っていた。
「八雲!
ほんとにこいつやるの?
全然美味しそうじゃないんだけど・・・
むしろ、お腹壊しそう・・・」
ルルと呼ばれた黒猫がしゃべった!
「君、さっきから自分が言葉を発してないって理解してる?
僕も八雲も心の声を聞くのはそんなに得意じゃないんだ・・・
それに、君のいた世界の理がどうかは知らないけど、言葉を話す猫くらいいるんだからね!
その程度で驚かないで欲しいよ!」
言われて理解した。
俺は先程から一言も言葉を発していない。
それなのにこいつらは俺の言いたいことを理解して返してきてる。
「今、理解した・・・俺は言葉を忘れてしまっていたのか?」
「んーー・・・そういうことではないんだけどね?」
「お前らのことを教えてくれ!
なぜ猫が喋る?
お前達はなんなんだ?
なぜ俺が繰り返してることが分かった?
なぜこの繰り返しに干渉できた?」
「もう!いっぺんに聞きすぎ!
それに、人にものを聞く態度じゃない!
一つ一つ丁寧に教えるほど僕はお人好しじゃないんだよね!!
八雲!やるならさっさとやっちゃおう!」
やるとは一体なんのことだ?
こいつらと関わっていると疑問ばかり浮かんでくる。
ほんと、いい加減にしてほしい。
「いい加減にしてほしいのは分かりますが、
こちらにも都合というものがあります。
あなたはこの永遠とも言えるループから抜け出したいですか?
それとも留まりたいですか?」
俺は・・・
俺は・・・・・・
抜け出したい!
もうこんなのは嫌だ!
何度も殺され、何度も人が死んだのを見てきた!
こんなのはもう沢山だ!
早くここから出してくれ!!
「--だ、そうですよ。
ルル・・・お願いしますね」
「あーいよ」
そして八雲と呼ばれた男が手をかざすと目の前には大きな扉が現れた。
「さぁ、この扉を進んでください。
上手く行けば、あなたは抜け出すことが出来ますよ」
またニヤニヤと笑い出す。
その不穏な笑顔を信じたわけではない。
これが俺の新しい1歩ってことか!
いいじゃねぇか!
地獄だろうが何だろうが行ってやる!
俺は扉に手をかけると勢いよく開け放った。
「また言葉を忘れてるね・・・君は頭が悪いのかな?
ま、どんな味かは食べてみてのお楽しみかな!」
俺の後を猫が着いてくる。
扉の先は真っ暗になっており見えない。
俺は意を決して1歩踏み出し・・・
落ちた。




