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1-7=その後
バタンと閉じたドアを見送る1人の青年。
そして、黒い猫。
「あの人、本当に大丈夫なのかな?」
猫が言う。
「珍しい。君が他人の未来を心配するなんて」
「ま、この先のことは僕には関係がないけどね」
「君に関係があるのはストレスや憎悪みたいな負の感情だけでしょ」
「そう、人間の感情は実にいいね。
とっても美味しい」
ペロリと舌なめずりをする。
「怖い恐い・・・」
「次は僕にどんな美味しい感情を食べさせてくれるんだい?」
「さぁ・・・君が気に入る感情があればいいけど」
1人と1匹は目を細めて笑う。
小さく、囁くように。