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猫カフェ ~ブバルディアの花影~  作者: ことの。
~アルビノ~
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5-5=理由

横になって大きく深呼吸。

芝生の青い匂いが鼻をくすぐる。

この広い大地に溶け込んで自分も大地のひとつになった様な気すらする。


ふと横に目をやると例の女が膝を抱えてちょこんと座っている。

放心しているのか目は一点を見つめ動かない。


俺はふと疑問に思ったことを聞いてみることにした。


「なぁ・・・お前・・・なんで拉致なんかやってんの?」


女は俺を睨みつけてきた。

さっきも見た・・・睨んでいるがどこか悲しそうな顔。


「生きるためよ!親に捨てられた孤児が生きていくための術!それ以上でも以下でもないわ!」


吐き捨てるように答える女。

この女はやりたくてやってるんじゃない。

睨みたくて睨んでるんじゃない。

ただ、行き場のない憤りを目の前にいる”俺”という存在にぶつけているだけ。

いわゆる八つ当たりというやつなんだ・・・。


「そうか・・・親に・・・俺と同じだな」


俺も親はいない。

親の顔すら覚えていない。

教会の前に捨てられていたそうだ。

きっとそれもこの体質のせい。

想像出来るだろうか・・・せっかく苦しい思いをして生まれてきた子供が真っ白だったら・・・あなたはどう思うだろうか。


可愛がる?

珍しがる?

珍しがってでも可愛いと思うのであれば是非そうしてもらいたい。


親に愛される。


それだけでも子供にとっては救われることなのだから・・・。

俺の親は違ったようだが・・・。

状況はどうあれきっとこの女も・・・。


「お前の気持ちが分かるなんて言うつもりは無い・・・俺が出来るのは想像だけだ。それに、俺はお前のことを可愛そうだなんて思わない。思うことこそ可愛そうだろう。お前はお前でしかない体験をし、俺は俺でしかない体験をしてきている。お互いに分かることなんて出来ない・・・」


「そのくらい!分かってるわよ!」


半泣き状態の女が返事をする。

悔し泣きなのか苦し泣きなのか判断は出来ないが・・・。



「シリアスムードの中ごめんね!お邪魔しちゃいけないと思ったんだけど、こっちにはこっちの都合があるんでね!」


急に頭の中に響いてくる少年の声。

扉やら光やら拉致やら草原やら・・・色々なことがありすぎて、もう慣れた。

そこに現れたのは小さな黒い猫。

不思議と声は猫から発せられていると理解した。


「あれ?1人しか呼ばない予定なのになんで二人いるの?仲良しなの?」


キシシと笑う猫。


「そんなわけあるか」

「そんなわけないわ」


2人の息はぴったりだった。

俺らは互いを見合わせて直ぐに目を背ける。

この猫、予定と言ったか?

なんだ予定とは・・・。

俺がこの女のどっちかがここに来ることが既に決まっていたような言い方だ。


「それはそうと、僕のお店においでよ!疲れただろう?美味しい飲み物とお菓子がまってるよ!」


これ以上とない怪しいお誘い。

普段であれば断るところだろう。

しかし、今は拉致前から何も口にしていないせいで喉も乾くし腹も空いている。

俺は甘んじてその誘いを受けることにした。


つかつかと歩き始める俺と猫。


「ちょっと!なに勝手に決めてんのよ!」


文句を言いつつも着いてくる女。

そんな女を無視しつつ歩き続ける俺と猫。


しばらく歩いていくと見えてきたのは先程通ってきた同じ扉のオシャレなカフェだった。

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