5-4=存在
再び目を覚ます。
部屋は相変わらずジメジメと薄暗い。
しかし、先ほどとは異様に異なる部分が1つある。
それは扉が2つあることだ。
1つは先程、女が男2人を引き連れて入ってきた鉄の重たい扉、
もう1つはキレイな装飾が施された木の扉。
鉄の扉よりも圧倒的に大きく、この部屋には似つかわしくない。
「あら?起きたのかい?」
部屋の端の方に座っている女が俺が起きたことを確認して声を掛けてくる。
「・・・・・・」
俺はそれを無視する。
「なんか言ったらどうなんだい?」
座っている椅子の目の前の机を強く叩き威嚇してくる。
机には灰皿があり、吸いかけのタバコが煙を上げながら置いてある。
「・・・この扉はなんだ?」
女にも見えているであろう扉。
その存在をこの女が知らないわけがない。
教えてくれるとは思わないが使用用途くらいは聞いてみても損は無いだろう。
「はぁ?何言ってんの?蹴られ過ぎて頭おかしくなっちゃった?」
怪訝そうな顔で俺を見る女。
反応を見るに本当に見えていないように思える。
「ほら・・・ここに・・・」
ゆっくりと手を伸ばす。
不思議なこともあるものだ・・・ガチャという音と共に繋がれていたはずの鎖は溶けるように消えてしまった。
俺を止めるものはもうない。
そのままゆっくりと、しかし確実に・・・俺は扉のノブに手をかける。
「ちょっとあんた!何してんの・・・!!」
女が俺を止めにかかる。
しかし、既に遅い。
女が俺の手を掴み、俺の手は扉に触れる。
その時、扉が光輝いた。
眩しいほどの光。
目が眩み、数秒間は周りを認識することが出来なかった。
辺りを確認できるようになり、初めて目にした風景。
それは今までみたジメジメとした薄暗い部屋とは全然違っていた。
どこまでも続く高い空
深い緑色をした木々
優しく頬を撫でる暖かい風
そして、少し遠くの方には小さな家も見える。
「ここは・・・どこだ?」
「そんなの!私が聞きたいわよ!」
更に何故かいるこの女。
ここは夢か現実か・・・。
夢なら何故この女が一緒にいる。
現実ならここはどこなんだ?
整理のつかない頭ではまともな答えも出てこない。
「今日はよく移動する日だな・・・」
とりあえず、こんな開放感は久しぶりだ。
俺は何も考えずに芝生に横になってみた。




