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猫カフェ ~ブバルディアの花影~  作者: ことの。
~OL~
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1-6=過去②

「あなたを置いていなくなってしまったお姉さんを嫌いになった?」


「ううん。


嫌いになった訳じゃないの。


ただ、周りの期待が大きければ大きいほど、

姉が凄かったんだな・・・って思うのと同時に

姉のように出来ない自分自身に嫌気が指してきたの。


でも、私は空っぽ。


姉のようになりたいだけのただの空っぽなの人形なの。


そんな私に色んな期待をされても無理」


ふぅ・・・と一息。


「それは・・・無理でしょうね」


青年の一言に私はキッと目を向いてしまった。

青年は続ける


「不快に思ったなら失礼しました。


でも、私にはお客様がお姉さんのように振舞っても無理が祟るだけのように感じましたので。


お姉さんはお姉さん。


お客様はお客様なのです。


お客様はお客様以外の何者にもなれないのだと思います。


空っぽの人形?


上等じゃありませんか。


空っぽということは、これからまだまだ色んなものが入るスペースがあるということ。


お客様がお客様以外の何者にも負けない何かを見つけられるということでもあると思いますよ」


私はキョトンとしてしまった。


姉と比べられ、姉のように生きてきた私に

私だけの何かを見つけるように言ってきた人は今までいなかった。


普段の私であれば周りの期待を裏切っては行けない。


そう思い、自分を探そうなどとは思わない。


でも、今、ここにいる私はどうだろう。


少しだけ肩の荷が降りた感じがして、

自分のための自分探しをするのも悪くないと思ってしまっている。


「少しだけ・・・わがままになってもいいのかしら?」


「いいと思いますよ。人は自分自身の為にしか生きられないのですから。」


先程までぐちゃぐちゃしていた頭の中が少しだけスッキリとしていた。


「もし、自分探しに疲れてしまった時はまたお店のドアを開けてください。


お客様にピッタリのお飲み物とお菓子をご用意いたしますよ。」






ギギ・・・バタン


ドアの閉まる音と共にハッと目が覚める。


目の前には何の変哲もない一軒家がひとつ。


随分前から使われていないのだろうか、手入れのされていない様子だ。


「私は一体・・・」


何をしていたか細かくは思い出せない。

しかし、何か特別なことをしていた気もする。


そして、何故か心は晴れやかだった。



数日後、私は辞表を提出し貯めに貯めた使い道のない貯金をもって、旅をすることにしたのだ。


道中、旅の相棒としてカメラを持っていった。

その写真が評価されたのはまた別のお話・・・。

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