4-13=狩猟
翌日の夜
麗しく妖艶な赤い満月の日
2人の狩人による狩猟が始まる。
目的は遥か頂きに存在する小さな宝石。
それを守る赤き龍。
今宵のミッションはドラゴンの注意を逸らし、その隙にアルニカを奪取する。
目の前にはドラゴンが身体を丸めて休んでいる。
それを少し遠巻きに見るふたり。
気付いているのかいないのか、ドラゴンは身動き1つしない。
「それでは、行きますわよ!ルルさま!」
「いつでもいいよ!無茶しないでね?エリスに何かあったら怒られるのは僕だから!」
「分かっておりますわ!八雲さまを悲しませる訳には行きませんし、お兄様のためにも早く取って帰ってこなければ!」
ふぅーーと一息入れるエリス。
「では!改めまして!
武装召喚!おいでませ!グラム!!!
【戦乙姫】エリス・ロワ・オンディーヌ!
参りますわ!!!」
エリスがかざした掌から溢れる光。
その中から現れたのは細身の剣。
大きくはないが、背の低いエリスが持つと大剣ようにも見えてしまう。
いささか扱いにくいように感じるがエリスは大きなそれを片手で軽々と持ち上げ構える。
グリムが現れたのと同時にエリスの体は鎧に包まれた。
純白の鎧はエリスの白い肌によく馴染んでいる。
併せて背中に生えているのは鎧と同じく白い翼。
その神々しさに不用意には近づき難いオーラを漂わせている。
「この姿になるのも久しぶりにございます」
「分かってるとは思うけど殺しちゃダメだからね?ちゃんと力は抑えてよね!」
「分かっておりますわ。本気を出せないのは少し心苦しいですが・・・楽しんでまいりましょう!」
少し宙に浮くと翼の力で加速するエリス。
目的はもちろん、眼下のドラゴンに向かって一直線。