1-3=破壊
私はどうしたい?
この大きなハンマーを握ったら戻れない・・・
この大きなハンマーを握ったら抑えが効かない・・・
確証はないが、そんな感じがする。
「この世界では欲望には逆らえない」
猫が笑う
笑う
笑う
カタカタと震える手が少しづつ、しかし確実にハンマーへと向かう。
いい子を演じていた私はここで終わる?
築き上げてきたキャリアや人間関係はここで終わってしまう?
例えこれが夢だとしても、してしまった後に皆にどんな顔をして会えばいいか分からない。
いつも通り笑顔を振りまける自信がない。
しかし、、、
少しづつ動いてしまった腕は私の葛藤も虚しくハンマーに届いてしまった。
ーーープツン
ハンマーに手が触れた瞬間
何もかもが音を立てて崩れ落ちた気がした。
その後の記憶は断片的にしか覚えていない。
上司や同僚に振り下ろされるハンマー
頭蓋に強打した感触がしっかりと伝わってくる。
人だけじゃない、周りの机や壁にも八つ当たりのように泣き喚きながらハンマーを殴打
殴打
殴打
殴打
断片的にしかない記憶のなかで確かに残る
叫び声、泣き声、阿鼻叫喚・・・耳に残る悲鳴。
頭蓋、腕、脚、壁、机・・・殴打の感触。
破壊の限りを尽くした私は崩壊した[元]職場の真ん中で立ち尽くしていた。
「気は済んだかい?」
返り血を纏った私を見ながら、
返り血を被った猫が問いかけてきた。