表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫カフェ ~ブバルディアの花影~  作者: ことの。
~OL~
2/167

1-2=狭間

カウンター越しに見える風景。

ゆっくりだが丁寧に作られていく飲み物。


「おまたせいたしました」


コトッと私の目の前に置かれたハーブティー。

お供には数枚のクッキーが添えられている。


「オレンジブロッサムをベースにした特製ブレンドです」


「いただきます」


コクリと1口・・・


・・・


・・・


目を開けるとそこは私の職場だった。


薄暗い事務所、PCへ向かう人々。

いつもイライラしている同僚や働かない上司。


そんな殺伐とした中にポツンと立つ私。


「ここがあなたの心の狭間かい?」


ふいに誰かに声をかけられる。

幼い少年のような澄んだ声。

周りを見渡しても誰もいない。

頭に直接話しかけてくるような声。


「あなたは・・・誰?」


「僕はルル」


「あなたは・・・どこにいるの?」


「僕はここにいるよ」


答えに対してもう一度、辺りを見回す。





やはり誰もいない。


「あなたはどこにいるの?」


もう一度、問いかける。


「僕は君の目の前にいるよ」


はっ!とした瞬間。

目の前に現れた1匹の猫。

今までいた事に気づかなかった。

気づいていたのかもしれないけど、意識から外れていた。


職場に猫がいる。

当たり前にありえないことが認識出来ないでいた。


「ここは君の心の狭間」


「私の?」


「そう。君の心が疲れを感じている場所だよ」


「疲れ?」


「そう。

意識的にか無意識的にか君はここを壊したい。

逃げ出したいって思ってる」


「そんなこと出来ない」


「なぜ?」


「生活のため仕事はしなくちゃいけないし、仕事を続けていくために人間関係は大事だもの・・・壊せない。

逃げ出せない」


「なぜ?」


「なぜって、あなた話をちゃんと聞いてたの?」


「聞いてたさ!

人間は自分の居場所に固執して周りを固めると動けなくなる。

僕らからしたらそれはとても窮屈で退屈なんだ。

だから教えて?

君が本当にしたいことを」


眩い光と共に急に目の前に現れる大きなハンマー


「これが君の心の形」


「ウソ・・・」


「嘘じゃないよ、君が溜め込んだ心の疲れが形になったものだよ」


「ウソよ・・・」


「君はこれで何をしたいのかな?」


表情の無い猫が笑った気がした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ