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13-8=慈悲
「なるほど・・・」
何かを理解した八雲は自ら攻撃する手を止め、
少年から距離を取り、猫丸を鞘へ収めた。
それを見ると少年も攻撃の手を止め、首を傾げる。
「君に見えてるのは私ではありませんね?」
「・・・クククク・・・殺してやる・・・」
「そればっかりですね」
「皆殺しだ・・・それ以外に・・・この怨み・・・晴らせるものか・・・」
「怨み・・・?」
少年は切っ先を八雲へも向けた。
「剣を置け!さもなくばこの子供達を殺す!
首を跳ねてやる!」
「そんなことしてどうなるというのです?」
「これは復讐だ!
首を跳ねるなんて慈悲の内、同胞に裏切られ、八つ裂きにされるよりかはな!」
そういうと少年は刀を振りかぶり、少女へと向き直る。
「いけません!」
八雲は構える。
腰に当てた刀の柄をしっかりと握り、
一歩踏み出す。
その動きは誰にも捉えることが出来ず、
気がついた頃には八雲は少年と少女の先で刀を収める動きをしていた。
キンッ
刀を収めた瞬間、倒れ込む少年。
その手からは黒刀が手放されていた。
「安心してください。
峰打ちにしました」
ドサッ
八雲が言い放つと少女も合わせて倒れ込む。