13-5=失踪
コンコン
虫も寝静まる深夜。
八雲の部屋をノックする音。
「こんな時間に?」
「こんな時間にですね・・・」
コンコン
コンコン
その音は焦っているような。
慌ただしくノックを繰り返している。
「はい」
渋々とドアを開ける。
開けた瞬間に八雲にしがみついてきた人影が1つ。
「あ・・・あの!すみません!
姪と甥をみませんでしたか?」
よくよく見ると、その人影は昼間に対応してくれた中居だった。
焦っていたのだろうか、髪はまとまっておらず、額にも汗が滲んでいた。
「いえ、見ていませんが・・・いかがしました?」
「二人とも姿が見えないんです!
寝室にはいたとのことなんですが、
先程、叔父が起きた時に二人ともいなくなってたと・・・
一通り探しては見たのですが、それでも見つからなくて!
ご存知ありませんか?」
「・・・残念ながら・・・見ていません」
「そうですか・・・夜分遅くに失礼いたしました」
居ないことが分かると中居はすぐに立ち去り、
部屋には再び八雲とルルのみが残された。
「八雲・・・?」
「嫌な予感・・・的中ですね。
行きますよ、ルル」
「行くってどこに?」
「無論、探しにですよ!」
「え?なんで?
きっと二人ともトイレに行ったとかですぐに戻ってくるよ!
八雲が探しに行く必要なんかないって!!」
「一通り探したと言っていたので、その線は薄いでしょう。
それに、嫌な予感は消えてません・・・」
そそくさと支度をし、ルルを置いて外へ出る。
「ちょ・・・待ってよ八雲!八雲って~!!」
そんな八雲を追いかけるように外へ出るルル。
外の空気はねっとりと暖かく、
不気味な雰囲気をかもし出していた。